星合いの夜が来る前に

「それにしても、今年も笹を設置しといてよかったよ。みんなずいぶんと真剣にお願い事を書いてくれてるみたいだし」


「そうなんですか？」


あまり良くないことだと承知で、短冊に書かれた願い事を読んでみる。


『第一志望校合格！』


『インターハイで優勝！』


ざっと見る限り、勉強や部活に関する熱いお願い事もあるけれど、全体の割合としては、恋愛に関する願い事が圧倒的に多い。


『今度の合コンで彼氏ができますように』


『終業式の後、告白が上手くいきますように！』


なんて、黒の油性ペンでしっかりと書かれた、決意表明にも近い願い事を読むたびに、「頑張れ！」と応援したくなってしまう。


今は他の誰かよりも、自分にエールを送らなきゃいけないのにね。