アイドルに男装して入ったら激モテなんですが!?
アイドル活動スタート

カラシさん

「お金が無い、、、」
通帳を見て1つため息を着いた。
親がパチンコで金を泡のようにブクブクと溶かしていっている間に、私は預金を見て絶望していた。

父は毎日パチンコに通いつめ、母は昼のパートと水商売をしてなんとか家計を支えている。
しかし、母親の貧しい金で3人も養えるはずがない。しかも、その内の一人は金銭感覚が破滅している。
そんな、東京のボロアパートに住む、ごくごく普通の女子中学生が私だ。
受験も大詰め。皆が希望の高校を目指し、前を向く中、私だけ下を向いて現状と睨めっこをしていた。
頭が悪い私が公立など入れるはずがない。
母は優しいので、私立だろうが高校を選ばせてくれるだろう。
しかし、私立など入ったら毎日の晩御飯がもやし1袋になってしまう。

「バイト、するかぁ。」
ヘニョヘニョと年季の入ったちゃぶ台に溶けるようにうつ伏せになる。
バイトといっても、何をすれば稼げるのかなんて知らない。
多分中学生の私ができるものは限られてくる。
「無理かもなぁ」
考えて3秒。泣き言を既に漏らしている私はもうお先真っ暗なのかもしれない。
諦めてテレビの電源を入れる。
少し雑音の入った音楽の中、まだ高校一年生だという少年が踊っていた。
有名なアイドルグループに入っていて、既に液晶の中のスターとなっていた。

「アイドルか、、、あれ?いけるんじゃね?」
溶けた体を再びおい立たせ、テレビの近くへとよる。
テレビに薄く映った私の顔は、とても端正な見た目だった。
顔だけは自信がある。昔、お父さんが酒の勢いでお母さんのことを喋っていた。
お母さんはとても綺麗な女性だったという。
そんな母から産まれてきた私自身も、ルックスにはさやや自信があった。

「こうなっちゃいられない!善は急げ!」
スマホを取り出し、ネットの大先生に検索をかける。
2ヶ月後、この近くでアイドルのオーディションを開催するようだ。
そこには、『男性アイドルユニットオーディション』とでかでかと書かれていた。
「私、女だよ、、、」
それ以外のオーディションを探したが、どれだけ探っても出てこなかった。

「ここは、腹を括るしかない!」
私は、応募するのボタンをタンッと力強く押した。
緑から赤色に変わったボタンを見て、後悔が早速押し寄せてきた。
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