氷龍の贄姫
「そうですね。わたくしたちの結婚は外交や政治の一つ。お姉様の次はわたくしですね。ですが、お姉様がこの縁談に不満であるならば、わたくしが代わってもよろしいですよ?」
オーレリアを安心させるかのように、ラクシュリーナは微笑んだ。するとオーレリアも微笑み返す。だが、その笑みはどこか苦しそうにも見える。
「いいえ……それは、大丈夫よ。私がフレイムシアンに嫁ぐから。だけど、誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。お父様やお兄様には、このようなことを言えないでしょう?」
「お姉様には、好きな方がいらっしゃるのですか?」
その問いにオーレリアは「内緒」と答えた。その言葉で確信した。彼女には間違いなく想い人がいる。その気持ちを心の奥底にしまい込んで、フレイムシアンに嫁ぐのだ。
まだ、想い人のいないラクシュリーナのほうが、その役はいいのかもしれない。
それでもオーレリアは決意している。その気持ちを無駄にはしたくない。
それが王族に課せられた使命なのだ。
姉の話を聞いて、ラクシュリーナはふと考える。
ラクシュリーナを憎むくらい王妃を愛していた国王は、幸せな結婚生活を送っていたのだろうか。二人はお互いに愛し合っていたのだろうか。
両親だって決められた結婚であったと聞いている。何がきっかけとなって、互いを互いに好きになったのだろう。
「ところで、お姉様がフレイムシアンに嫁ぐことと、龍魔石には何か関係があるのですか?」
オーレリアは、最初に龍魔石について口にした。彼女は、関係のない話をとりとめもなく口にするような女性ではない。
「そうね……」
そこでオーレリアは喉を潤す。
オーレリアを安心させるかのように、ラクシュリーナは微笑んだ。するとオーレリアも微笑み返す。だが、その笑みはどこか苦しそうにも見える。
「いいえ……それは、大丈夫よ。私がフレイムシアンに嫁ぐから。だけど、誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。お父様やお兄様には、このようなことを言えないでしょう?」
「お姉様には、好きな方がいらっしゃるのですか?」
その問いにオーレリアは「内緒」と答えた。その言葉で確信した。彼女には間違いなく想い人がいる。その気持ちを心の奥底にしまい込んで、フレイムシアンに嫁ぐのだ。
まだ、想い人のいないラクシュリーナのほうが、その役はいいのかもしれない。
それでもオーレリアは決意している。その気持ちを無駄にはしたくない。
それが王族に課せられた使命なのだ。
姉の話を聞いて、ラクシュリーナはふと考える。
ラクシュリーナを憎むくらい王妃を愛していた国王は、幸せな結婚生活を送っていたのだろうか。二人はお互いに愛し合っていたのだろうか。
両親だって決められた結婚であったと聞いている。何がきっかけとなって、互いを互いに好きになったのだろう。
「ところで、お姉様がフレイムシアンに嫁ぐことと、龍魔石には何か関係があるのですか?」
オーレリアは、最初に龍魔石について口にした。彼女は、関係のない話をとりとめもなく口にするような女性ではない。
「そうね……」
そこでオーレリアは喉を潤す。