氷龍の贄姫
「では、氷嚢を持ってきます」
途中までついてきたエセルバードは、くるりと振り返ってまた階段を下りていく。その後ろ姿を、つい目で追ってしまう。
「姫様、どうかされましたか?」
「いえ……子どもの成長は、早いと思ったの」
「そうですね。特にエセルは同年代の子よりも、成長が早いように思えます。あと十年も経てば、立派な騎士になりますよ」
「そう、そのときが楽しみね」
頭がぼぅっとしてきて、考えるのもしゃべるのも辛くなってきた。ふわふわと身体が浮いたような心地で、部屋まで連れて行かれ、そのまま寝台に横たえられた。
「すぐにカーラがきますから。姫様はゆっくりとお休みください。今日は寒かったですからね。身体がついていかなかったのでしょう」
肩までしっかりと掛布をかけられ、ラクシュリーナは重くなる瞼に抗えなかった。
うつらうつらとしていると、ひやっとしたものが額に押し当てられた。それがとても気持ちよい。
誰かがすぐ側にいる。
カーラだろうか――。
その者の手をとらえ「ありがとう」とだけ、呟いた。
途中までついてきたエセルバードは、くるりと振り返ってまた階段を下りていく。その後ろ姿を、つい目で追ってしまう。
「姫様、どうかされましたか?」
「いえ……子どもの成長は、早いと思ったの」
「そうですね。特にエセルは同年代の子よりも、成長が早いように思えます。あと十年も経てば、立派な騎士になりますよ」
「そう、そのときが楽しみね」
頭がぼぅっとしてきて、考えるのもしゃべるのも辛くなってきた。ふわふわと身体が浮いたような心地で、部屋まで連れて行かれ、そのまま寝台に横たえられた。
「すぐにカーラがきますから。姫様はゆっくりとお休みください。今日は寒かったですからね。身体がついていかなかったのでしょう」
肩までしっかりと掛布をかけられ、ラクシュリーナは重くなる瞼に抗えなかった。
うつらうつらとしていると、ひやっとしたものが額に押し当てられた。それがとても気持ちよい。
誰かがすぐ側にいる。
カーラだろうか――。
その者の手をとらえ「ありがとう」とだけ、呟いた。