氷龍の贄姫
「だが、国を閉ざすというのは鎖国とは違う。文字通り、国を閉ざす」
「どういうことですか?」
サライアスは眉間に深くしわを刻んだ。唇の端がひくっと動く。
「アイスエーグル国は、氷龍とともに眠りにつく。こういえば、わかるか?」
「眠りにつく……?」
「おとぎ話の、眠り姫を想像してみればわかりやすいだろう。あれは呪いだったが、あれと似たような感じで氷龍とともに眠りにつく」
「誰が、ですか?」
それが重要である。氷河時代はウラグス大陸すべてに影響する。
「……アイスエーグル国の王族だ。そもそも、王族には氷龍を守るという役目もある。それはどこの国も同じだ。自国の龍を守るのは王族の役目……」
「つまり、ウラグス大陸を守るために、アイスエーグル国が犠牲になるということですか?」
サライアスが言いにくそうにしていた理由を、エセルバードは瞬時に悟った。それでもまだ、気持ちを落ち着ける。
「そういう言い方もできるかもしれないが。氷河時代を引き起こす原因が氷龍にあるとすれば、アイスエーグル国はその責任を取らなければならない」
その言い方はずるい。そんな言い方をされたら、反論できない。反論すれば、王族を侮辱したことになる。彼らの存在意義を否定することになる。
「では、アイスエーグル国は消滅してしまうのでしょうか……」
氷龍とともに王族が眠りにつく。となれば、この国は立ち行かなくなるだろう。
「どういうことですか?」
サライアスは眉間に深くしわを刻んだ。唇の端がひくっと動く。
「アイスエーグル国は、氷龍とともに眠りにつく。こういえば、わかるか?」
「眠りにつく……?」
「おとぎ話の、眠り姫を想像してみればわかりやすいだろう。あれは呪いだったが、あれと似たような感じで氷龍とともに眠りにつく」
「誰が、ですか?」
それが重要である。氷河時代はウラグス大陸すべてに影響する。
「……アイスエーグル国の王族だ。そもそも、王族には氷龍を守るという役目もある。それはどこの国も同じだ。自国の龍を守るのは王族の役目……」
「つまり、ウラグス大陸を守るために、アイスエーグル国が犠牲になるということですか?」
サライアスが言いにくそうにしていた理由を、エセルバードは瞬時に悟った。それでもまだ、気持ちを落ち着ける。
「そういう言い方もできるかもしれないが。氷河時代を引き起こす原因が氷龍にあるとすれば、アイスエーグル国はその責任を取らなければならない」
その言い方はずるい。そんな言い方をされたら、反論できない。反論すれば、王族を侮辱したことになる。彼らの存在意義を否定することになる。
「では、アイスエーグル国は消滅してしまうのでしょうか……」
氷龍とともに王族が眠りにつく。となれば、この国は立ち行かなくなるだろう。