氷龍の贄姫
 それから数日後――。
 アイスエーグル国内に通達がいく。
 数日のうちに王城を封鎖するという内容だ。それとともに、第一王女のオーレリアがフレイムシアンに嫁ぐ。
 王城を封鎖するのは、力が尽きかけている氷龍を守るため。王城を含む王都で生活をしていた者は、すみやかに生活拠点を他方にうつすこと。
 国民が慌ただしく動き出す。
 それからしばらくして、アイスエーグルの王城は、文字通り氷によって閉ざされた。周囲は吹雪がひどく、近づくことさえできない。
 それでも遠くから見れば、氷の彫刻のようだとも言われている。
 だが、彼らは知らない。氷龍を守るために、一人の女性がともに眠りについたことを。
 いつの間にか、彼らの記憶からラクシュリーナ・アルコルタ・セレナ・アイスエーグルという名が消え去っていく――。

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