氷龍の贄姫
「それに、俺がどれだけあなたを想っていたのかも……。たった三年間でしたが、あなたを好きになるには十分な時間でした。俺は、あなたを愛して生きる喜びを知ったのです。だからずっと、あなたの目覚めを信じていました」
 目の前の天鷲絨の瞳が、はかなげに揺れていた。
「その責任を取っていただけませんか?」
 ラクシュリーナの心臓が、トクンと震えた。胸の奥がざわざわと音を立てている。
 この気持ちをなんと呼ぶのか――。
 ラクシュリーナにはまだわからない。

 この日、アイスエーグル国の空には、二十年ぶりに氷龍が姿を現した。

【完】
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