氷龍の贄姫
今では病に冒されてはいないラクシュリーナが、ここで生活をしている。
皆と離れて生活をしているだけで、なんら不便もない。食事に必要な物は運ばれてくるし、身を守ってくれる近衛騎士も、身の回りの世話をしてくれる侍女もいる。
「浴室の準備が整うまで、暖炉の前にいなさい。あとで、サライアスにこの塔を案内してもらってね。ここは談話室。誰でも自由に使える部屋よ」
サライアスが暖炉に薪をくべ、火を強くした。そこに、浴室の用意をしたカーラが、乾いた大きなタオルを手にして現れた。
「とりあえずは、こちらでも羽織っていてくださいな。すぐに、湯はたまりますからね」
アイスエーグル国は、大陸を縦に走っているクスク川の上流の水を、龍魔石を用いて浄化して使っている。龍魔石とは、龍の鱗が作り出す石のことで、おとぎ話に出てくる魔法のような不思議な力があることから、龍魔石と呼ばれていた。
この龍魔石を管理するのも、王族の務めでもある。氷龍の龍魔石は水に関する能力を持ち、水を浄化したり水を冷やしたりすることができる。
そして、風呂の水をあたためるのは、火龍の龍魔石の能力である。
こういった龍魔石は、国と国で条約を決めてやりとりがされていた。お互いにお互いの龍魔石が必要であるため、年間の使用量と使用可能量を算出して、外交の場での議題としている。今のところ、どこかの国が龍魔石を独占するといった動きは見られていない。
エセルバードが風呂に入っている間、ラクシュリーナはぬくぬくと茶を飲み始める。
サライアスは使用人のマルクを呼び出した。
マルクもゼクスも龍魔石に関する特殊な仕事を与えられていた。使用人であるが、彼らはそれだけ特別な人間でもあるのだ。血筋と人柄と、そういったことを総合的に判断して仕事を決めていく。
皆と離れて生活をしているだけで、なんら不便もない。食事に必要な物は運ばれてくるし、身を守ってくれる近衛騎士も、身の回りの世話をしてくれる侍女もいる。
「浴室の準備が整うまで、暖炉の前にいなさい。あとで、サライアスにこの塔を案内してもらってね。ここは談話室。誰でも自由に使える部屋よ」
サライアスが暖炉に薪をくべ、火を強くした。そこに、浴室の用意をしたカーラが、乾いた大きなタオルを手にして現れた。
「とりあえずは、こちらでも羽織っていてくださいな。すぐに、湯はたまりますからね」
アイスエーグル国は、大陸を縦に走っているクスク川の上流の水を、龍魔石を用いて浄化して使っている。龍魔石とは、龍の鱗が作り出す石のことで、おとぎ話に出てくる魔法のような不思議な力があることから、龍魔石と呼ばれていた。
この龍魔石を管理するのも、王族の務めでもある。氷龍の龍魔石は水に関する能力を持ち、水を浄化したり水を冷やしたりすることができる。
そして、風呂の水をあたためるのは、火龍の龍魔石の能力である。
こういった龍魔石は、国と国で条約を決めてやりとりがされていた。お互いにお互いの龍魔石が必要であるため、年間の使用量と使用可能量を算出して、外交の場での議題としている。今のところ、どこかの国が龍魔石を独占するといった動きは見られていない。
エセルバードが風呂に入っている間、ラクシュリーナはぬくぬくと茶を飲み始める。
サライアスは使用人のマルクを呼び出した。
マルクもゼクスも龍魔石に関する特殊な仕事を与えられていた。使用人であるが、彼らはそれだけ特別な人間でもあるのだ。血筋と人柄と、そういったことを総合的に判断して仕事を決めていく。