心霊物語 学校の怪談
「それで、どうやって夢の中に入るの?」

「夢かくれんぼって知ってる?」

桐ヶ谷くんが説明してくれたのはこんなものだった。

夜中の零時に「私は夢かくれんぼをします」と書いた紙を枕の下にして寝る。

参加者が同じことをすれば、同じ夢を見ることができる。

「夢鬼ごっこのお鬼と夢かくれんぼの鬼は別物だけど、夢鬼ごっこの鬼は幽霊、夢かくれんぼの鬼は化け物だ。どっちかをおとりしている間に、みんなを助け出す。それと、ドリームキャッチャーを持って行って」


その日の深夜零時、私は紙に「私は夢かくれんぼをします」という紙を枕の下に置いて寝た。


「あれ?ここは…」

私がいたのは、夜の学校だった。

「ここってもしかして、私が通ってる学校…?」

どこか見覚えがあった。

その時、

『ただいまより、夢かくれんぼを開始します。参加者の皆さんは、鬼が探しに来る前に隠れてください』

夢かくれんぼが始まった。

私はとりあえず、教室のロッカーの中に隠れた。

「もういいかーい…」

どこからかそんな声が聞こえてきた。

少しずつこちらに近づいて来るのがわかった。

私は、心臓を抑えた。

ヒタ…ヒタ…とゆっくりロッカーに近づいてくる。

私は中からドアを抑えた。

やがて、ロッカーのドアがガチャガチャと開けようとするのが聞こえた。

私は必死にドアを抑えた。

もう力が限界を迎えそうになった時、

「おい!こっちだ!俺を捕まえてみろ!」

桐ヶ谷くんの声が聞こえた。

鬼がヒタ…ヒタ…と遠ざかって行った。

私は今うちにロッカーから出て、別の隠れ場所を探した。

学校中を走りながら私はおかしなことに気づいた。

これだけ走っているのに、一向に行き止まりにならない。

「はぁ…はぁ…なんで…?」

「成海さん!」

疲れて立ち止まっていた私を誰かが引っ張った。

「桐ヶ谷くん?鬼は?」

息を整えながら聞いた。

「今は近くにはいない。バラバラになって動き回るより、一緒に行動していた方がいい」

「もしかして、夢かくれんぼの鬼に見つからないようにしながら、夢鬼ごっこに参加している子達を探すの?」

桐ヶ谷くんは首を横に振った。

「それは少し難しい。だからこれをつけて」

桐ヶ谷くんはポケットから、鈴のついた数珠を取り出した。

「これをつけていれば、夢かくれんぼの鬼から俺たちの姿を見えなくできる。その間に、夢鬼ごっこにつながっている場所を見つけるんだ」

私は数珠を腕につけた。

「それで大丈夫、行こう」
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