あなたの心に寄り添いたい 〜この好きという気持ち〜

いつもあの子は

席替え、と聞いて睨むように本を読んでいるのは、1番後ろの席、鈴見 怜々愛(すずみ れれあ)さん。
俺たちは中2。
鈴見さんは授業態度はまぁ…アレだけど、先生にさされたら正解を答えるし、勉強も運動もできる、天才。
だけど、友達はいないみたいで…笑った顔が見てみたいと思った。
…俺が笑わせたいと思った。
そんな俺に天は味方する。
席替えで席が隣になったんだ。
「よろしく」
と声をかけると、俺を横目で見て、また本に目線を落とす。
鈴見さん、話しかけないでオーラがバシバシ伝わってくる。
「おい、歩夢(あゆむ)!キツネに話しかけても意味ねぇぞ」
「キツネって…」
俺が眉間にしわを寄せると、
「ねぇ、キツネってバカにするために話しかけてきたの?興味本位で?アンタに話しかけられるとイライラするんだよ」
「ごめん、鈴見さん…」
俺がそういうと、ハッと目を見開いて、またすぐにするどい目つきに戻る。
「うるさい。黙れよ…」
鈴見さんは長いまつ毛をふせる。
あぁ__いつもあの子は、鈴見さんは、笑っていない。
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