あなたの心に寄り添いたい 〜この好きという気持ち〜
花火は、私みたい
放課後。
私は、ぼんやりと考えいた。
もちろん、花火の約束に行くつもりはない。
「れっちゃん、お菓子、食べる?れっちゃんの大好きなカステラあるよ〜」
義母がニコニコしながらカステラを出してくれる。
「れっちゃん、友達できた〜?お母さんを友達と思って、話してごらん。今、何かに悩んでるでしょ」
義母は私のことをよく見ている。
「怜々愛、って名前、私もかわいいなって思う」
「やめてよ。あのクソ親につけられた名前なんてクソでしかない。クソ親の子供は、クソ娘。今までもそうだった。よく私を引き取ったよね。私、あなたがかわいそうで仕方ない。私のせいで幸せな人生、不幸にしてるんだから」
私は立ち上がり、部屋に戻る__
「怜々愛!逃げるな!そうやって自分の言いたいことばっかり言って‼︎座りなさい‼︎」
腕をつかまれ、座らされる。
「なんでアンタの言うこと聞かなきゃいけないの⁉︎私が何したって、どう生きたって自由でしょ⁉︎アンタも私を育てられるくらいお金があるんだから、のんびり暮らせばいいのに!」
私はコートをつかみ、玄関を飛び出す。
名前も、本当の親も、里親も。
「あー、もうッッッッ‼︎全部嫌いだ!」
私が天に向かって叫ぶと、鈴見さん?と言う声がした。
この声…
「やっぱり鈴見さんだ!俺も今、花火買ってきたとこ。まだ17時だけど、花火、やろうか」
私は言われるがままに着いて行き、ベンチに座る。
「…私、線香花火やりたい」
「いいよ。勝負ね」
同時に火をつけて、私はその小さな火の玉をじっと見つめる。
「…」
どうしようっ…泣く気はなかったのに。
自然と、涙が出てきた。
「すっ…鈴見さん!どこか痛い⁉︎」
「ううん…じゃあなんで泣いてるのかってなるよね。この線香花火は…私みたいだから」
今、目の前にいるヤツのことが不思議と憎らしくない。
真剣に話に聞き入ってくれる。
「私ってね、親に捨てられて、里親さんに育てられてるの。それで、テストで満点を取っても、スポーツでいいタイムとかが出ても。全部、全部、隠れて努力したのに。『本当の親がいないから、どうせ何かしたんだ』って言われ続けてて…この線香花火は、私みたい。最初に火がついたときは、頑張ろうって思うとき。努力してるとき。1番綺麗に花火が咲いたときは、努力が実ったとき。最後に…散るときは、そうやって言われたとき。ねぇ、歩夢くん…、あなたは、努力って報われると思う?」
初めて名前を呼んだ。
(心の中では、歩夢)は、じっと考えてうつむいたあと、きっぱりと言った。
「…俺は、ちょっと違うと思う。『努力は報われる』って考えてると、報われなかったときに、次はもうやめようって諦めちゃうことがあるから、『報われるために努力をする』って考えた方が楽じゃないかな。努力が報われなかったときは、努力が足りないって思えばいいと思うよ」
「…報われるために、努力をする………」
「そう。それにね、」
歩夢は立ち上がり、新しい線香花火に火をつけた。
「人は、失敗しても、苦しんでも、また新しい希望を見つけられる強さがあるんだ。それは、俺でも、鈴見さんでも、他の人でもね。自分にはないって思っても、きっと、ううん、絶対あるんだ。だから、花火みたいに、努力が足りなくて散ってしまったら、また新しい希望の光を灯せばいい。そしてまた散って、また希望を探す。そうすればきっと、すごく幸せな瞬間に出会えるはずなんだ」
歩夢の瞳は、希望の光でキラキラと輝いていた。
「今の鈴見さんは、燃え尽きた花火をずっと見つめて、持ってるだけだよ。はやく、希望の光を見つけて、灯さなくちゃ」
そう言うと、新しい線香花火に火をつけて、私に手渡した。
今の私は、過去にとどまって、またバカにされるのが嫌で。努力は報われないって決めつけてた。
だけど、彼が、違うよって気づかせてくれた。
私は、ぼんやりと考えいた。
もちろん、花火の約束に行くつもりはない。
「れっちゃん、お菓子、食べる?れっちゃんの大好きなカステラあるよ〜」
義母がニコニコしながらカステラを出してくれる。
「れっちゃん、友達できた〜?お母さんを友達と思って、話してごらん。今、何かに悩んでるでしょ」
義母は私のことをよく見ている。
「怜々愛、って名前、私もかわいいなって思う」
「やめてよ。あのクソ親につけられた名前なんてクソでしかない。クソ親の子供は、クソ娘。今までもそうだった。よく私を引き取ったよね。私、あなたがかわいそうで仕方ない。私のせいで幸せな人生、不幸にしてるんだから」
私は立ち上がり、部屋に戻る__
「怜々愛!逃げるな!そうやって自分の言いたいことばっかり言って‼︎座りなさい‼︎」
腕をつかまれ、座らされる。
「なんでアンタの言うこと聞かなきゃいけないの⁉︎私が何したって、どう生きたって自由でしょ⁉︎アンタも私を育てられるくらいお金があるんだから、のんびり暮らせばいいのに!」
私はコートをつかみ、玄関を飛び出す。
名前も、本当の親も、里親も。
「あー、もうッッッッ‼︎全部嫌いだ!」
私が天に向かって叫ぶと、鈴見さん?と言う声がした。
この声…
「やっぱり鈴見さんだ!俺も今、花火買ってきたとこ。まだ17時だけど、花火、やろうか」
私は言われるがままに着いて行き、ベンチに座る。
「…私、線香花火やりたい」
「いいよ。勝負ね」
同時に火をつけて、私はその小さな火の玉をじっと見つめる。
「…」
どうしようっ…泣く気はなかったのに。
自然と、涙が出てきた。
「すっ…鈴見さん!どこか痛い⁉︎」
「ううん…じゃあなんで泣いてるのかってなるよね。この線香花火は…私みたいだから」
今、目の前にいるヤツのことが不思議と憎らしくない。
真剣に話に聞き入ってくれる。
「私ってね、親に捨てられて、里親さんに育てられてるの。それで、テストで満点を取っても、スポーツでいいタイムとかが出ても。全部、全部、隠れて努力したのに。『本当の親がいないから、どうせ何かしたんだ』って言われ続けてて…この線香花火は、私みたい。最初に火がついたときは、頑張ろうって思うとき。努力してるとき。1番綺麗に花火が咲いたときは、努力が実ったとき。最後に…散るときは、そうやって言われたとき。ねぇ、歩夢くん…、あなたは、努力って報われると思う?」
初めて名前を呼んだ。
(心の中では、歩夢)は、じっと考えてうつむいたあと、きっぱりと言った。
「…俺は、ちょっと違うと思う。『努力は報われる』って考えてると、報われなかったときに、次はもうやめようって諦めちゃうことがあるから、『報われるために努力をする』って考えた方が楽じゃないかな。努力が報われなかったときは、努力が足りないって思えばいいと思うよ」
「…報われるために、努力をする………」
「そう。それにね、」
歩夢は立ち上がり、新しい線香花火に火をつけた。
「人は、失敗しても、苦しんでも、また新しい希望を見つけられる強さがあるんだ。それは、俺でも、鈴見さんでも、他の人でもね。自分にはないって思っても、きっと、ううん、絶対あるんだ。だから、花火みたいに、努力が足りなくて散ってしまったら、また新しい希望の光を灯せばいい。そしてまた散って、また希望を探す。そうすればきっと、すごく幸せな瞬間に出会えるはずなんだ」
歩夢の瞳は、希望の光でキラキラと輝いていた。
「今の鈴見さんは、燃え尽きた花火をずっと見つめて、持ってるだけだよ。はやく、希望の光を見つけて、灯さなくちゃ」
そう言うと、新しい線香花火に火をつけて、私に手渡した。
今の私は、過去にとどまって、またバカにされるのが嫌で。努力は報われないって決めつけてた。
だけど、彼が、違うよって気づかせてくれた。