あなたの心に寄り添いたい 〜この好きという気持ち〜
強くなった鈴見さん
「…もう、帰る時間かも」
鈴見さんがそう言ったのは、5本目の線香花火に火をつけたときだ。
「そっか。今日は楽しかった!ありがとう」
「…うん。ありがとう。またね」
鈴見さんは、花が咲いたように、ふわっと満面の笑みで手を振ってくれた。
俺だけに笑顔を向けてくれた…。
俺は、熱くなる頬を片手で押さえながら、後片付けをした。
次の日、何もなかったように鈴見さんは本を読み、俺は利月と話している。
「おい、キツネ‼︎この間の体力テスト、全部Aの記録を上回ってるって本当か⁉︎ウソに決まってんだろ‼︎」
鈴見さんは怒った男子にチラリと視線を向けた後、また読書をする。
「答えろよ!お前、本当の親がいないんだろ。だから自分が可哀想で仕方ないんだ。だからせめて全部Aの記録を上回って勝ちたかったんだろ⁉︎白状しろよ!」
男子が本を取り上げ、
「え、鈴見さんって本当の親、いないんだ…」
「そりゃあズルしたくなるよね」
教室中がざわめく。
俺は止めようと一歩前に出た。
けど、鈴見さんが手で大丈夫、と合図する。
「本当の親がいないから何?記録がウソだと思うなら、ここでやってやろうか?まぁ、見たいと思うほど、そんなにレベルは低くないだろうけど。負け犬の遠吠えが」
「は?」
「聞こえなかった?負け犬の遠吠えが、って言ってんの」
鈴見さんは本を取り返し、何事もなかったようにまた読み始める。
「問題児のヤロー、ついにおかしくなったか…⁉︎」
「俺たちには関係ないことだろ。ここの問題、教えてくんね?」
「お前より頭悪い俺がわかるわけねぇだろー⁉︎」
俺は利月と笑い合いながら、鈴見さんが強くなったことに嬉しさを感じていた。
鈴見さんがそう言ったのは、5本目の線香花火に火をつけたときだ。
「そっか。今日は楽しかった!ありがとう」
「…うん。ありがとう。またね」
鈴見さんは、花が咲いたように、ふわっと満面の笑みで手を振ってくれた。
俺だけに笑顔を向けてくれた…。
俺は、熱くなる頬を片手で押さえながら、後片付けをした。
次の日、何もなかったように鈴見さんは本を読み、俺は利月と話している。
「おい、キツネ‼︎この間の体力テスト、全部Aの記録を上回ってるって本当か⁉︎ウソに決まってんだろ‼︎」
鈴見さんは怒った男子にチラリと視線を向けた後、また読書をする。
「答えろよ!お前、本当の親がいないんだろ。だから自分が可哀想で仕方ないんだ。だからせめて全部Aの記録を上回って勝ちたかったんだろ⁉︎白状しろよ!」
男子が本を取り上げ、
「え、鈴見さんって本当の親、いないんだ…」
「そりゃあズルしたくなるよね」
教室中がざわめく。
俺は止めようと一歩前に出た。
けど、鈴見さんが手で大丈夫、と合図する。
「本当の親がいないから何?記録がウソだと思うなら、ここでやってやろうか?まぁ、見たいと思うほど、そんなにレベルは低くないだろうけど。負け犬の遠吠えが」
「は?」
「聞こえなかった?負け犬の遠吠えが、って言ってんの」
鈴見さんは本を取り返し、何事もなかったようにまた読み始める。
「問題児のヤロー、ついにおかしくなったか…⁉︎」
「俺たちには関係ないことだろ。ここの問題、教えてくんね?」
「お前より頭悪い俺がわかるわけねぇだろー⁉︎」
俺は利月と笑い合いながら、鈴見さんが強くなったことに嬉しさを感じていた。