キミと風に乗って

はあ、今日も雨か。


美憂(みゆう)! そんな所でだらけてるんじゃないよっ」



……うるさい。聞きたくない。

わたしは耳を塞いでおばさんの声を遮断する。


おばさんはずんずんとわたしに近づいて、乱暴に腕を掴んできた。そのまま強い力でわたしの手を耳から引き離す。


耳を強く、強く引っ張られて、大声で怒鳴られる。

わたしはギュッと強く目を瞑った。



「お前なんか、なんの価値もないのに。それなのにアタシは、何年もの間お前の世話をしてやってるんだよ。もう少し役に立ったらどうだい!!!」


……うるさい。

うるさいうるさいうるさい!!



「……っ、ごめんなさい」

「あ? なんだい、聞こえなかった。もう一回言ってみな」



耳が外れてしまうんじゃないかって、本気で思った。

それくらい、痛かったんだ。


こんなにも酷い仕打ちをされても、ただ謝ることしかできない自分に嫌気が差す。


「お前なんか、消えちまえばいい」


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