キミと風に乗って
「な、なぜここに来たんだ。大人しくしてろと言ったでしょっ!?」
血眼でわたしを睨むおばさんは、山姥そのものだった。
「あれ、オバサン。やっぱ嘘ついてたんだ」
その声を聞いた瞬間、背筋に鳥肌がたった。
冷たくて、人間味のかけらもない、悪魔のささやきのような声。山姥よりも何倍も恐ろしい。
恐る恐る顔を上げた先には。
「美憂、迎えに来た」
にっこりと口角を上げて、そんなことを言った美男子がいた。