この恋、最後にします。




「か、課長にはもう朝一に伝えました。すぐおっけいもらっちゃいました」



「ああ、そうか。よかった。
・・・じゃー、また」



「・・・はい」



「ふーーーん」と柏木さんに再び言われる。



細野主任がこの場からいなくなってからも、隣からの視線が熱い。



「か、柏木さん」



仕方がなく、私は声をかける羽目になる。



「なんでしょう!!」と食いつく柏木さんに一歩引いてしまいそうだ。



「柏木さんが考えているようなことは、一切ないですからね」



「え」



「いやいや、そんな、ないですから」




「・・・んー、決めつけてるのは神子谷さんだけな気もしますけどね」



「え?」



「なんでもないです、よしっ仕事仕事!」




聞き返す意味なんてないのに、私はいつから演技派になったのだろうか。



自分の気持ち、隠すの上手になったって意味がないのに。



でも、こうするしか自分を保てない気がするから。




 
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