この恋、最後にします。




「3年制の大学ってまじあっという間だよな~」



大学の友達のケントがそう呟く。



「専門選んで入学したのはいいものの、別にこれじゃない感あんだよ」



もう一人、長髪が特徴のユウタが言う。



「男ってみんなやる気ない」



僕の隣に座る汐里がフルーツジュースを飲みながら頬を膨らます。



「いやいや最上が一番の謎だからな。女なのに自動車整備士の専門いるとか」



「関係ないでしょ!!」



ユウタにそう言われ、もっと頬を膨らますのがいつもの流れだ。



「雪はなんで、ここ選んだんだよ」



「かっこいいから?」



「は?お前ホント猪突猛進で生きてる?」



「ああ、まあね」



でも、本当に入学した意味などなく、中身もなかったんだと思う。



逃げたばっかの人生に、くらげの存在は大きく感じた。



困っている人には躊躇いもなく力を発揮するところとか、だけどどこか儚いところも守りたいと思った。



だけどそれだけじゃ、僕には頼りなかった。




「雪ってばほんと犬みたい」



「はあ?どこが」



毎回のように、汐里にそう言われるのも馬鹿にされているようで悔しかった。



「就活進んでんの?雪」



「俺、いいや」



「は!?どうすんだよ」



「実家戻る、家の方継ぐわ」



「ああ、酒屋?」



「そう、母さんがもう無理なんだと。父さんに戻って来いとも言われてる」



「でもお前、自動車整備士の勉強意外としてたじゃん。
カッコいいとか言っといて、ほんとは本業にしたいんじゃないのかよ」



「うるせえーの、黙れケント」



「っぁいた!!」



ケントの額にデコピンをかまし、笑いあう。



 
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