この恋、最後にします。




「神子谷ちゃんには欠点があるの、自分でも気づいてるんじゃないの?」



視野が狭くなっている私に、熊井さんはズバズバと言葉を発する。



「欠点なんてたくさんありますよ」



「言葉にしてだしてみなさい、私たち神子谷ちゃんのこと嫌いにならないから」



この言葉が信用できるものなのかは分からない。


だけど、言葉にしてみたいと本能的に思っている自分がいた。


2人に見つめられながら、私は一点を見つめ、口を開く。



「・・・・・・

こじらせ癖があるところ、あまのじゃくなところ、自信がなくて呆れられやすいところ、派遣社員に誇りを持てないところ、恋するのが生きがいになっているところ、泣き虫なところ、考えがまとまらないこと、好きって言えないとこっ・・・気持ちに蓋するのがっ・・・蓋するのが得意な、ところ」




「誰が好き?」と熊井さんは優しく微笑み問う。



「・・・成宮くんっ」




涙が止まらない。



ずっと溜まっていたことを言葉にしたことで、人に話せたことで、私は涙が止まらなかった。





 
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