この恋、最後にします。




「いや~あのこれ、見せていいかわからないんですけど」



「いいから見せなさい」



私よりも熊井さんの方が勢いが増して、柏木さんからスマホを奪う。



見えた内容に、私は開いた口が塞がらない。



6月20日、この日は私が初めてお店に行けた日で、クレームの対応をした日だ。


成宮【柏木さん、今神子谷さんと一緒ですか?】

柏木【ううん、今パトカー内で別れたばっかりだよ】

成宮【どこら辺ですか。神子谷さん鍵落としてて届けに行きたいんです】



うそ・・・あの日、ちょうど成宮くんとアパート前で会って・・・それで


壁ドンなんかされて・・・



「うそ、あの時」



あの時、顔を近づけて身動き取れなくされて馬鹿にされたと思ってたけど、私のカバンに鍵をいれてたってこと・・・?


なんというテクニックなんだ、と、今更ながらに顔が赤くなってしまう。




7月10日 成宮くんを意識しすぎて遊びのお誘いを断ったくらいの時かな。


成宮【柏木さんすみません、神子谷さんって休み何してると思います?】

柏木【本人に聞けないの?】

成宮【はい、意識しちゃってうまく話せません(笑)】

柏木【変に考えない方がいいよ。好きならね】

成宮【バレバレっすね(笑)】



9月1日 花火大会の日だ・・・。


成宮【バイトやめてすみません、神子谷さん元気ですか?】

柏木【頑張ってるよ、でも、少し元気ないかな】

成宮【花火大会は神子谷さんと行きますか?】

柏木【残念だけど、協力できないかも。成宮くん、ちゃんと覚悟あるなら追わないとダメだよ】

成宮【どういうことですか?】

柏木【鈍感もいいとこだよ】





「なによこれ~、神子谷ちゃんの話題ばっかりじゃない」



読み終わるとすぐに熊井さんが眼鏡を外して、私を見る。



「そう、ですね」



「私の身にもなってくださいよ神子谷さん。
急に連絡先交換したいって言うからなんだと思ったら、交換した日から成宮くんの
神子谷さん大好きアピールがすごいんですから」



こういう時、人はどういう反応をするべきなのだろう。



嬉しくて、今すぐにでも会いたいという感情は合っているのだろうか。




 




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