この恋、最後にします。



成宮くんが私に伝えた言葉も全部、私の記憶違いだったんだ。



あの時、お酒なんて飲まなきゃよかった。



そうすれば変な期待や記憶もなかったのに。



----------------『神子谷さん俺、神子谷さんのこと気になるわ』



私は少し浮かれていた。



5歳も下の男の子に好かれることなんてあり得ないんだわ。



目を覚ませ、神子谷海月よ。



あんな顔がいい若い男の子に手を出そうとした私への罰を神様が早めに知らせてくれたんだわ。



せっかく準備した朝ごはんも食べる気にはなれず、渋々返信内容を考える。



考えると何故だか成宮くんに対して、怒りの感情が芽生える大人げのない自分になっていた。



どうせ当て馬候補の脇役にするならもう少し焦らしてくれたってよかったのに。これじゃあズタボロだよ。



思わせぶりって罪なんだよ。



ダメだと思うと余計なことを考えてしまって、メッセージの中の柏木さんという文字が歪んで見える。



もう考えてしまえば、何故か長文になってしまうので、ここはシンプルに適当に返そうと決めた。



「何も考えない考えない、思ったことをスラッと・・・」



pon...♪【柏木さん?仲いいと思うけど】



特別仲良くなんかない。



ただ、やっぱり、どこかで成宮くんにはいい人に思われたくて、冷たい人間に思われないように懸命に尽くそうとする悪い癖がでてしまう。


ここで【仲良くない】とか返信したら、こいつ嫉妬してるのか?とか思われてしまいそうだし。



結局、考えないように返信したつもりが、かなり考え込んでの返信だ。



 
< 33 / 142 >

この作品をシェア

pagetop