この恋、最後にします。
「わたしも一緒に行きます」
スッと横に現れたのは、綺麗に佇むスーツ姿の細野主任。
あの嫌味を言われてからまともに顔を見れずにいた。
「ああ、そうか。店の方もその方が助かるな。頼んだよ二人とも」
「はい」
「はい・・・」
細野主任がこちらに顔を向けたから、咄嗟に顔を背ける。
「おい、なんだその顔は」
「イエ、ナンデモ・・・」
体が強張る。細野主任は私にとってそれほどの存在だと再確認する。
「行くぞ」
「あっあの、なにで・・・」
「車だよ、隣座って道覚えてくれ」
「道くらい私も分かりますよ」
「ははっそうか、悪かったな」
なんなんだ、と、細野主任の笑顔がいつもと違った雰囲気で、私は踊らされてしまう。
今日は本当に、調子狂う日なんだ。
カモの親子になった気分で、親の細野主任の後を急いで追う。