この恋、最後にします。
「んーーーーーー」
悩み、悩みながらも私は成宮くんに電話をすることにした。
「頼むよーー君しかいないんだよーーー」
ぶつぶつ言いながら貧乏ゆすりする私は少し歳をとったのかなと多少思うこととなる。
「はい・・・」
さっきのことが相当気に入らなかった様子の、ムスッとした声の成宮くんが電話越しから感じられた。
「成宮くんもう事務所着いてる?」
「うん着いてるよ」
「そう、ちょうどいいわ。頼みたいことがあるの、今すぐね」
「俺に?」
「そう成宮くんに」
「何でも言ってください、俺、なんでもやるんで!」
やはり柏木さんのことを助けたかったのだろう。
声のトーンがあがる。
まるで、飼い主に褒めてもらった後の子犬のようだ。
「いい?
私のデスクの引き出し一番目に電話のメモが入ってるでしょ?」
「ちょーっと待って」
バタバタとそそっかしい音が聞こえる。
「大丈夫?」
「あーはい、見つかりました。これがどうしたんすか」
「そこに、椅子一脚納期って書いてあるところない?」
「あ、はい、ありますね」
「そこに書いてある伝票の番号をパソコンに打って、お客様のご住所私に教えて?
調べ方は、この前納期の確認のやり方を教えたときに覚えたわよね」
「おっけー、任せろ」
そういい、パソコンのキーボードが聞こえてきて少しホッとする。
よかった。
予定より早く柏木さんの元にいけそう。