この恋、最後にします。




ピンポーン♪



クレームがうまくいく三か条その①【落ち着いた声で話す】



「はい」



「あ、お世話になっております。わたくしPremier amourの神子谷と申します。
アポイントもとらず、大変恐れ入りますが直接お詫び申し上げたく参りました。
今後の弊社としての改善策のお話もお伝えしたいと思っております、直接お詫びさせていただけないでしょうか?」



「もう違う姉ちゃんと仲良くやってんだよ、邪魔すんじゃねえよ」




クレームがうまくいく三か条その②【共感しつつ、意見を言う】




「そうでしたか、大変失礼いたしました。
いつもPremier amourをご利用していただいている鈴木様を一目でもお会いしたく、大変失礼なことをいたしました」


「え?」


「それではこちらに、心ばかりではございますがどうぞお納めください」



そういい、急いで準備した菓子折りを玄関に置く。



そんな失礼なこと、するわけないけどね。



インターホンのカメラ越しから私のことを見ているに違いない。



「あ?それ、持ってるの俺の好きな和菓子じゃないか、おい、ちょと待て」



「え?」これも演技。



演技できるほど電話対応で培ったクレーム対応。



なぜ、わたしが鈴木様の好きな和菓子を知っていたかって?



断然、リサーチ力!



っていうのは嘘で、先ほどのタクシーのおじさんが教えてくれたのだ。


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『ここの家の人、よくこの近所で見かけるんだよな~そこの和菓子屋さんで。
しかもよう、味が好きなのかここで働いてる女性にメロメロなのかどっちが分からないけどな
毎回、水ようかんを買って。そこの外のベンチで食べてから帰るんだよ』

『ほほ~ん』

『でもお姉さんも気を付けなよ?本当にそこのおじいさん、相当な女好きなんだよ。奥さんもいねえみたいだぞ?』

『ほっほ~~ん』



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「あ!え!そうでしたか。実は私もそこの和菓子が好きで、水ようかん。よく買うので、是非と思って鈴木様に・・・

って思ったら、さすが鈴木様。もうご存じだったんですね!」



「おお、おお、おお、ねえちゃん上がんな。今、開けるからな」



よし。突破!



 

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