この恋、最後にします。





ん・・・?



ちょっと待って。



これなんか、この流れ、よくドラマや漫画であるよね。



年下の男の子を家に上がらせざる負えない状況に陥る年上女。



無防備な年下くんがお風呂に入り、女は何も考えずに夕ご飯の準備をする。



すると現れるのは・・・



待って。



うわ、うわうわわわ・・・いや、考えすぎだよね。



そんな妄想をしてしまう自分も「ちょっと待って」って感じだけれど。



「ダメダメ」



自分に言い聞かせ、頭を振る。



冷蔵庫を開け、今日作る予定ではいたハンバーグの材料を手に取る。



まあ、2人分食べなくて済んだし、助かったってことで・・・。



無理やりすぎる言い訳がやっぱり苦しい。



ここで素直になるわけにはいかないからだ。




そういえば、どうしてか成宮くんは、柏木さんに対する態度が少しぎこちがないように感じる。



あまり目も合わせていないような気もするし。



今日までの二人の絡みを思い出す。



そうだ、やっぱりぎこちないのだ。



柏木さんより、私とよく話している気がするのも、なんだか疑問に思う。



少し優越感に浸ってしまっている自分もいることに、私は気づいていないふりをしている。



でも、ちょっと考えたら分かることで。



男女の恋愛は初めはぎこちないものだ。



お互いが意識しているから、ぎこちなくなるのも無理はない。



私と絡むみたいにふざけた雰囲気はなく、どこか遠い儚い感じの、2人だけの世界という関係性が成宮くんと柏木さんからは感じる。



ああ、そうか、そうなんだ。



材料を練り混ぜながら、私は考える。



やっぱり、この状況作ったのが間違いだ、ということを。



早く帰ってもらおう。



そうして冷静になり、一人で考える時間を作るのだ。



好きという感情の消し方を。



 
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