この恋、最後にします。



「シフト、休みになってるけど今日はどうしたの?」



「ん、変更した。俺明日休みになったから」



「ほんと、ルーズね。成宮くんって」



「バカにしてるだろ、俺ちゃんとLIMEしたよ」



「あっほんとだ、今日出勤になったって来てる」



「だから言ったろ?電源つけとけ」



「成宮くんのために電源つけてらんないよ」



「はあ?なんだ君は」



「君じゃなくて、神子谷"さん"ね」



「え?」



「神子谷さんね」



「なんで?くらげって呼んだ方がいい?」



「はい?なんでそうなんのよ」



「くらげ」



「~~~~ッ!」



「どうしたの」



「だめ、神子谷さんにして」



「なんで怒ってんの」



「もう!」



「なに」



「私、先輩ね?年上なんだから」



「どこが?変わらないでしょ」



「変わりますから!」



「なんで怒ってんの?」



「~~~ッ!・・・・そ、そうだよね、落ち着くね?」



「そうだよ、くらげ」



「ああ、もう!会社内ではだめ!」



「くらげ、どうした」




名前を呼ばれるたびにドキドキする。



それは私の初めての感情だった。



名前を呼ばれているだけなのに、佐倉さんにも頻繁に呼ばれていたのに。



この違いは何なんだろうか。



成宮くんの私の名前を呼ぶ声がずっと頭の中に張り付いてくれていればいいのに。



でていかないで。



記憶から消えることのないように。



 
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