この恋、最後にします。
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″いつものところ″、それは私の元バイト先の近くにある公園だ。
バイトが終わった後、よく公園で話をした時のことを思い出す。
よくよく考えれば、勝手佐倉さんが待ち伏せをし、ストーカーまがいなことをされていたんじゃないかって時々怖くなる。
この角を曲がってしまえば、あの公園が見えてしまう。
グッと手に力を込め、唇を噛み締める。
あと一歩踏み出したところで、私は足を止めることとなる。
「あ・・・」
佐倉さんの影がはっきりと瞳に映るのだ。
やっぱり無理だ。
怖い。
心臓の音がうるさい。
成宮くんに対するドキドキと、錯覚してしまうくらいの同じドキドキが私に息の仕方を忘れさせる。
これは違う。
そういうドキドキじゃないのに。
止まらない音に無性に苛立ちを覚えさせる。
「あ!くらげちゃん・・・」
あの頃と変わらない表情と雰囲気に、一瞬引き込まされそうになる。
怒っていないんだ、とホッとしてしまう。
「あ、あの、遅くなりました」
「なんでそんな暗いの、大丈夫?」
そう笑い、私の肩を触る。
「あの、ごめんなさい私佐倉さんに」
「いいっていいって」
「え?」
「早く映画でも観にいこう予約した」
「え、ちょっと」
強引に私の肩に腕を回し、歩きだそとする佐倉さんに頭が追い付かない。
鼻息は荒く、肩に込める力が強くて痛い。
だめだ、話をしなくちゃいけないのに。
恐ろしいことに佐倉さんは私をまるで見ていない。
なにを話そうとするにも、話を遮ろうとする。
違うの、佐倉さんを苦しめたくて今まで思わせぶりな行動をしてしまったわけじゃない。ただ、自分があの時自信がなくて、その時に支えてくれた佐倉さんという存在に甘えて、あまりにも私の人生の影響を変えることとなって、それで、それで。
私が悪いんです。
でも、許してほしくて。
話がまとまらず、頭が真っ白になって消えてしまいと思う。
消えていなくなりたい。
「嫌がってる子、強引に連れて歩いたら、それはもう犯罪だよねお兄さん」