この恋、最後にします。
消える想い
告白の返事をした次の日、成宮くんのシフトは出勤だった。
来なかった。
私は内心ホッとしていた。
次の日も、翌週も翌月も、そのまた次も来なかった。
連絡も、偶然出くわすことも、ない。
まるで世界から消えてしまったみたい。
「今日も無断?無断して今日で1か月。さすがに課長に言われてますよね」
隣に座る柏木さんのこのセリフは何回も聞いた。
「神子谷、今日の夜、空いてるか?」
細野主任のこのセリフも、今日で3回目だ。
「何度も言いますけど、私、職場の人と食事はもう断ってますので」
「だよ・・・な、そーだよ、な」
「はい、すみません」
「いや、いいんだ」と言い、自分のデスクに戻る時に、いつも足元のゴミ箱につまづく。
その姿を見て「ふふ」と柏木さんは意味ありげに笑うのだ。
「なにこれ、同じ日繰り返してるみたい」
そう小さな声で呟く。
頬を叩き、メリハリをつけた私は仕事に集中した。
この繰り返しをしてるからなのか、成宮くんの想いが徐々に薄れていっている気がした。
気がしているだけなのか、何なのか、今の私には何も分からなかった。
それくらい、自分が分からなかった。