幽霊の国の狼娘/※耽美風ゴシック?中編+短編

(番外編)蠍の聖柩

※短編集を非公開にしたので、関連する短編としてこちらにまとめました。




 異世界じみたオーロラの照らす世界で、青い花と赤い花が入り乱れて咲いている。


 青い花は空間を司り、赤い花は時間を司る。


 崩壊してゆく未来の彼方の世界は二種類の『花』に守られて、夢見るようにたゆたいながら存続してるのだ。それは宇宙の果てから流れ着いた魔法の遺伝子の断片であり、どこか違う星の世界から受け継がれた『存在』の精髄。


 遥かな昔の歴史は流れ去り、奇跡のように新しい歴史と文明が息づいている。


 ほとんど忘れ去られた盛時の一時に比べれば、ずいぶんと文明の退行した鄙びた町々や石造りの都市国家に日々を送り暮らす。そして「龍」や「狼」の『貴族』たちが、旧来の人類である平民たちを守り治めている。彼らこそは記憶の始まりの頃に錬金術によって生み出された「守護者」の種族。


 もはや覚えてもいない時代の、神話の神々や英雄たちのように人々と関わり、共に新しい記憶の連鎖を紡いでいくのだ。
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