【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
プロローグ
プロローグ
極上のシルクで出来たドレスを身にまとい、差し出された手を掴む女性がいた。
凛とした表情は崩さずに、どこか色気のある微笑みを浮かべて胸を張る。
「――覚悟はできたか?」
「あら、陛下。覚悟なんて――この話を受けたときからありますわ。楽しみですわね、彼女がどのような反応をするのか」
くすり、と口元に弧を描いて笑う。
彼女のアメシストの瞳が、隣にいる男性へ移り、彼はその表情を見てふっと目を伏せた。
「……ここから、始まる」
「ええ。大丈夫ですわ。わたくしたちの目的は同じなのですから。さぁ、皆が待っております。行きましょう」
「――ああ、行こうか、ともに」
そうして彼女たちは足を進める。
国王陛下が到着したことを伝える音楽が流れ、会場の扉が開かれた。
女性はまぶしそうに目元を細めて、陛下とともに会場に足を踏み入れる。
国王陛下が王妃ではない女性を連れて会場に入ったことに、パーティー会場にいた人たちは戸惑いを隠せないようで、ざわざわとざわめいていた。
陛下たちが会場に用意された席に座ろうとした瞬間、会場の扉がバンッと大きな音とともに開かれる。
「どういうおつもりですか、エルヴィス陛下! 王妃である私を差し置いて、あんな女をパートナーにするなど!」
「そう怒るな、イレイン。――私はお前を、誘ってはいなかったろう?」
凛とした表情は崩さずに、どこか色気のある微笑みを浮かべて胸を張る。
「――覚悟はできたか?」
「あら、陛下。覚悟なんて――この話を受けたときからありますわ。楽しみですわね、彼女がどのような反応をするのか」
くすり、と口元に弧を描いて笑う。
彼女のアメシストの瞳が、隣にいる男性へ移り、彼はその表情を見てふっと目を伏せた。
「……ここから、始まる」
「ええ。大丈夫ですわ。わたくしたちの目的は同じなのですから。さぁ、皆が待っております。行きましょう」
「――ああ、行こうか、ともに」
そうして彼女たちは足を進める。
国王陛下が到着したことを伝える音楽が流れ、会場の扉が開かれた。
女性はまぶしそうに目元を細めて、陛下とともに会場に足を踏み入れる。
国王陛下が王妃ではない女性を連れて会場に入ったことに、パーティー会場にいた人たちは戸惑いを隠せないようで、ざわざわとざわめいていた。
陛下たちが会場に用意された席に座ろうとした瞬間、会場の扉がバンッと大きな音とともに開かれる。
「どういうおつもりですか、エルヴィス陛下! 王妃である私を差し置いて、あんな女をパートナーにするなど!」
「そう怒るな、イレイン。――私はお前を、誘ってはいなかったろう?」
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