【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
馬車の扉が開き、エルヴィスが先に降りてアナベルに手を差し伸べる。
彼の手を取り、馬車から降りたアナベルは、眼前に広がる光景に「わぁ……」と小さな声を上げた。
「素敵な場所ですね」
「今日からきみが住む宮殿だよ、ベル」
アナベルの目の前には、とても広い宮殿。そして、その宮殿で働ているであろう人たちがずらりと並んで、宮殿の主を迎えるために立っていた。
「初めまして、アナベルさま。デュナン公爵からの依頼で、家庭教師を引き受けたロマーヌ・クレマンス・カルメと申します」
優雅にカーテシーをする家庭教師――ロマーヌに、アナベルはハッとしたように彼女に声をかける。
「あ、えっと。あたしはアナベルと申します。今日からよろしくお願いいたします」
と、自分のスカートの裾を掴み、カーテシーをした。
(――あら?)
しん、と静まり返った……と、思ったら、すぐにロマーヌが姿勢を正して小さく微笑みを浮かべた。
「はい、よろしくお願いいたします。きれいなカーテシーですね。誰からか習ったのですか?」
「え、と、はい。少し……」
旅芸人の一座に入ったばかりの頃、練習ばかりだと大変でしょ? というミシェルの一言で『お姫さまごっこ』が始まったのだ。
「――では、その話は夕食をいただきながらにしましょう。陛下、陛下の分も用意いたしました」
「ああ、では私もいただこう」
エルヴィスの声に、その場にいる人たちは嬉しそうに微笑んで、「ぜひ!」と力強くうなずく。
アナベルは戸惑いながらも、エルヴィスと一緒に宮殿へ足を進めた。
彼の手を取り、馬車から降りたアナベルは、眼前に広がる光景に「わぁ……」と小さな声を上げた。
「素敵な場所ですね」
「今日からきみが住む宮殿だよ、ベル」
アナベルの目の前には、とても広い宮殿。そして、その宮殿で働ているであろう人たちがずらりと並んで、宮殿の主を迎えるために立っていた。
「初めまして、アナベルさま。デュナン公爵からの依頼で、家庭教師を引き受けたロマーヌ・クレマンス・カルメと申します」
優雅にカーテシーをする家庭教師――ロマーヌに、アナベルはハッとしたように彼女に声をかける。
「あ、えっと。あたしはアナベルと申します。今日からよろしくお願いいたします」
と、自分のスカートの裾を掴み、カーテシーをした。
(――あら?)
しん、と静まり返った……と、思ったら、すぐにロマーヌが姿勢を正して小さく微笑みを浮かべた。
「はい、よろしくお願いいたします。きれいなカーテシーですね。誰からか習ったのですか?」
「え、と、はい。少し……」
旅芸人の一座に入ったばかりの頃、練習ばかりだと大変でしょ? というミシェルの一言で『お姫さまごっこ』が始まったのだ。
「――では、その話は夕食をいただきながらにしましょう。陛下、陛下の分も用意いたしました」
「ああ、では私もいただこう」
エルヴィスの声に、その場にいる人たちは嬉しそうに微笑んで、「ぜひ!」と力強くうなずく。
アナベルは戸惑いながらも、エルヴィスと一緒に宮殿へ足を進めた。