【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
◆◆◆
――そしてそれから十五年の月日が経ち、イレインはメイドが仕入れた情報を耳にして、苛立ったように声を荒げた。
エルヴィスが新しく寵姫を迎えたという噂だ。
(宮殿にいた寵姫たちは、全員始末したというのに――……)
イレインは頭痛を耐えるように、額に手を添える。
「――まったく。王としての役目も果たさず、父としても夫としてもダメな人ですのに、女遊びをやめる気はなさそうですわね」
イレインは悲しそうに目を伏せた。
メイドは困ったように眉を下げて、言葉を続ける。
「なんでも、踊り子を寵姫にしたようですよ。とても美しい女性だったので、エルヴィス陛下の一目惚れだったんじゃないかって噂になっています」
「……そう。……それは、私よりも美しい女性、ということかしら?」
「それは……わかりませんが……」
イレインの声が露骨に低くなった。
そのことに、びくりとメイドの肩が跳ねる。
「……ああ、私、もっと美しくならなければなりませんわね……」
唇に弧を描いて、メイドに近付くイレイン。
――その日、また若い女性が一人、イレインのもとから消えた。
――そしてそれから十五年の月日が経ち、イレインはメイドが仕入れた情報を耳にして、苛立ったように声を荒げた。
エルヴィスが新しく寵姫を迎えたという噂だ。
(宮殿にいた寵姫たちは、全員始末したというのに――……)
イレインは頭痛を耐えるように、額に手を添える。
「――まったく。王としての役目も果たさず、父としても夫としてもダメな人ですのに、女遊びをやめる気はなさそうですわね」
イレインは悲しそうに目を伏せた。
メイドは困ったように眉を下げて、言葉を続ける。
「なんでも、踊り子を寵姫にしたようですよ。とても美しい女性だったので、エルヴィス陛下の一目惚れだったんじゃないかって噂になっています」
「……そう。……それは、私よりも美しい女性、ということかしら?」
「それは……わかりませんが……」
イレインの声が露骨に低くなった。
そのことに、びくりとメイドの肩が跳ねる。
「……ああ、私、もっと美しくならなければなりませんわね……」
唇に弧を描いて、メイドに近付くイレイン。
――その日、また若い女性が一人、イレインのもとから消えた。