【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「……エルヴィス陛下?」
「……いや、うん。……本当、よくこんなに純粋に育ったものだ……」
半ば感心したような、呆れたような口調にアナベルが不思議そうに彼を見つめる。
「……あの、エルヴィス陛下。こんなときになんですけれど、あたしが考えた『寵姫の仕事』を確認してくださいますか?」
彼女の肩に額を乗せていたエルヴィスが、ピクリと肩を揺らした。
彼の表情を見つめていると、一瞬のうちにアナベルの『恋人』ではなく、一国の『王』としての表情になっていた。
「聞こうか、きみの考えた寵姫像を」
「ありがとうございます。では、こちらにおかけください」
アナベルはエルヴィスを椅子に座らせて、メイドたちと練りに練った『寵姫の仕事』を彼に見せる。
エルヴィスは紙に視線を落とし、一通り読み終えると「ふむ」と顎に手をかけて真剣に考え込んだ。
「……よくもまぁ、噂話とはいえこれだけ集めたものだ。それに、寵姫の仕事としてのこれは、面白いな」
「噂話は長年勤めていたメイドたちの功績ですわ。わたくしが考えたのはこちらのほう」
すっと自分が考えた部分を指すと、エルヴィスがうなずいた。アナベルの口調が寵姫のものへと変わったことに気付いたエルヴィスだったが、なにも言わずに彼女の話に耳をかたむける。
「……なるほど。では、きみの考える通りに動いてくれ」
「――任せてくださいませ」
エルヴィスはその計画に同意する。こうしてアナベルは、自分が理想とする『寵姫の仕事』をすることになった。
「……いや、うん。……本当、よくこんなに純粋に育ったものだ……」
半ば感心したような、呆れたような口調にアナベルが不思議そうに彼を見つめる。
「……あの、エルヴィス陛下。こんなときになんですけれど、あたしが考えた『寵姫の仕事』を確認してくださいますか?」
彼女の肩に額を乗せていたエルヴィスが、ピクリと肩を揺らした。
彼の表情を見つめていると、一瞬のうちにアナベルの『恋人』ではなく、一国の『王』としての表情になっていた。
「聞こうか、きみの考えた寵姫像を」
「ありがとうございます。では、こちらにおかけください」
アナベルはエルヴィスを椅子に座らせて、メイドたちと練りに練った『寵姫の仕事』を彼に見せる。
エルヴィスは紙に視線を落とし、一通り読み終えると「ふむ」と顎に手をかけて真剣に考え込んだ。
「……よくもまぁ、噂話とはいえこれだけ集めたものだ。それに、寵姫の仕事としてのこれは、面白いな」
「噂話は長年勤めていたメイドたちの功績ですわ。わたくしが考えたのはこちらのほう」
すっと自分が考えた部分を指すと、エルヴィスがうなずいた。アナベルの口調が寵姫のものへと変わったことに気付いたエルヴィスだったが、なにも言わずに彼女の話に耳をかたむける。
「……なるほど。では、きみの考える通りに動いてくれ」
「――任せてくださいませ」
エルヴィスはその計画に同意する。こうしてアナベルは、自分が理想とする『寵姫の仕事』をすることになった。