【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
4章:寵姫 アナベル
寵姫 アナベル 1話
アナベルが正式に寵姫となってから、早三日。
朝起きたら朝食を摂り、動きやすい格好をしてから外へ向かう。
メイドたちも一緒に向かい、宮殿の玄関に立っているエルヴィス陛下の護衛であるパトリックがアナベルに気付き、丁寧に頭を下げた。
「ごきげんよう。本日もよろしくお願いしますね」
「こちらこそ」
アナベルはパトリックに剣術を習い始めた。
エルヴィスはアナベルとの約束を覚えていたらしく、こうして時間を見つけて稽古をつけてくれる。
「なんだか、宮殿の外とはいえ、訓練のためにここにくるのは不思議な感じです」
パトリックが肩をすくめて眉を下げる。アナベルは口元に手を添えて「ふふっ」と笑った。
「わたくしは助かりますわ。身を守る術はありがたいですもの」
「……なにかあったのですか?」
「旅芸人の一座として各地を巡っていれば、いろいろと、ね……」
昔のことを思い出して、アナベルは目元を細める。
本当にいろいろなことがあった。ここにいること自体が夢なのではないかと思うくらいに。
玄関を出て演習場に向かう。メイドも一緒だ。
「アナベルさま、こちらを」
「ありがとう」
メイドが持ってきていた剣を受け取り、鞘から抜く。
きらめく刀身を見て、うっとりと恍惚の笑みを浮かべるアナベルに、パトリックは少し困惑したように声をかけた。
朝起きたら朝食を摂り、動きやすい格好をしてから外へ向かう。
メイドたちも一緒に向かい、宮殿の玄関に立っているエルヴィス陛下の護衛であるパトリックがアナベルに気付き、丁寧に頭を下げた。
「ごきげんよう。本日もよろしくお願いしますね」
「こちらこそ」
アナベルはパトリックに剣術を習い始めた。
エルヴィスはアナベルとの約束を覚えていたらしく、こうして時間を見つけて稽古をつけてくれる。
「なんだか、宮殿の外とはいえ、訓練のためにここにくるのは不思議な感じです」
パトリックが肩をすくめて眉を下げる。アナベルは口元に手を添えて「ふふっ」と笑った。
「わたくしは助かりますわ。身を守る術はありがたいですもの」
「……なにかあったのですか?」
「旅芸人の一座として各地を巡っていれば、いろいろと、ね……」
昔のことを思い出して、アナベルは目元を細める。
本当にいろいろなことがあった。ここにいること自体が夢なのではないかと思うくらいに。
玄関を出て演習場に向かう。メイドも一緒だ。
「アナベルさま、こちらを」
「ありがとう」
メイドが持ってきていた剣を受け取り、鞘から抜く。
きらめく刀身を見て、うっとりと恍惚の笑みを浮かべるアナベルに、パトリックは少し困惑したように声をかけた。