【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「そんなに剣が好きなんですか?」
「だってこの剣、とても綺麗ですもの。稽古で使うのがもったいないくらいですわよ?」
刀身を眺めたまま言葉を紡ぐと、「本当に好きなんですねぇ」と感心したようにパトリックがつぶやく。
そして、剣を構える。アナベルも同じように構えた。
「――では、どこからでも、どうぞ」
「――ええ。今日もよろしくお願いします」
タンッと地面を蹴ってパトリックに近付く。キィン! と金属のぶつかり合う音が鳴り響き、メイドはぎゅっと両手を組んで見守っている。
剣の稽古を始めてから、アナベルは一度も彼の足を動かせていない。
何度も挑戦しているが、手も足も出ない。そのことを痛感している。
「軽くは習っていたんですよね?」
「ええ。でも、こんなに動かない人は初めてですわ」
「まあ、そこら辺は追々……。舞とはいえ剣を扱っていたからか、慣れていますよね」
「そこそこにねっ!」
何度も攻撃をしているが、やはりパトリックは一歩も動かない。まるで、そこに引き込まれるように攻撃をしてしまう。
「……わたくしの攻撃って、そんなに単純なのかしら……?」
「まぁ、ええ、……わかりやすいと言えばわかりやすい、ですから……」
相手は何年も剣術を磨いていた相手だ。
納得したように息を吐き、諦めないとばかりに鋭い眼光を向けると、彼は苦笑を浮かべた。
「だってこの剣、とても綺麗ですもの。稽古で使うのがもったいないくらいですわよ?」
刀身を眺めたまま言葉を紡ぐと、「本当に好きなんですねぇ」と感心したようにパトリックがつぶやく。
そして、剣を構える。アナベルも同じように構えた。
「――では、どこからでも、どうぞ」
「――ええ。今日もよろしくお願いします」
タンッと地面を蹴ってパトリックに近付く。キィン! と金属のぶつかり合う音が鳴り響き、メイドはぎゅっと両手を組んで見守っている。
剣の稽古を始めてから、アナベルは一度も彼の足を動かせていない。
何度も挑戦しているが、手も足も出ない。そのことを痛感している。
「軽くは習っていたんですよね?」
「ええ。でも、こんなに動かない人は初めてですわ」
「まあ、そこら辺は追々……。舞とはいえ剣を扱っていたからか、慣れていますよね」
「そこそこにねっ!」
何度も攻撃をしているが、やはりパトリックは一歩も動かない。まるで、そこに引き込まれるように攻撃をしてしまう。
「……わたくしの攻撃って、そんなに単純なのかしら……?」
「まぁ、ええ、……わかりやすいと言えばわかりやすい、ですから……」
相手は何年も剣術を磨いていた相手だ。
納得したように息を吐き、諦めないとばかりに鋭い眼光を向けると、彼は苦笑を浮かべた。