【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
もともと、アナベルは踊り子。
それも、剣舞で人々を魅了するほどの実力を持っている。
もしかしたら、なにかの役に立つかもしれない。そう答えを導き出したカルメ伯爵夫人は、アナベルに『剣術の稽古のときは、怪我をしないように気を付けること』と口酸っぱく言い聞かせていた。
紹介の儀も終わり、本格的に剣術の稽古が始まった。
どうしても紹介の儀が終わるまでは慌ただしく生活していたから、なかなか剣を握る機会がなく、触れたとしても素振りくらいしか出来ず、上達の道は遠いと感じていたことを思い出し、アナベルは小さく笑う。
「……? どうしました?」
「いいえ。ただ、この恵まれた環境に感謝しているだけですわ」
とはいえ、アナベルは現在、たった一人のエルヴィスの『寵姫』。
彼女宛ての招待状がわんさかと届いていた。
それはお茶会だったり、夜会だったりと様々なものだ。
メイドたちが仕分け、どのお茶会や夜会に参加するかを真剣に検討してくれた。
貴族のことに疎いアナベルのために、メイドたちががんばってくれている。
「お茶会と夜会、どちらに参加したほうが良いのかしら?」
「日にちがずれていますから、どちらも参加したほうがいろいろ見えると思いますよ。どちらが王妃派で、どちらが陛下派か」
「……そんなもの?」
こくりとうなずくパトリックに、アナベルは「うーん」と首を捻った。
それも、剣舞で人々を魅了するほどの実力を持っている。
もしかしたら、なにかの役に立つかもしれない。そう答えを導き出したカルメ伯爵夫人は、アナベルに『剣術の稽古のときは、怪我をしないように気を付けること』と口酸っぱく言い聞かせていた。
紹介の儀も終わり、本格的に剣術の稽古が始まった。
どうしても紹介の儀が終わるまでは慌ただしく生活していたから、なかなか剣を握る機会がなく、触れたとしても素振りくらいしか出来ず、上達の道は遠いと感じていたことを思い出し、アナベルは小さく笑う。
「……? どうしました?」
「いいえ。ただ、この恵まれた環境に感謝しているだけですわ」
とはいえ、アナベルは現在、たった一人のエルヴィスの『寵姫』。
彼女宛ての招待状がわんさかと届いていた。
それはお茶会だったり、夜会だったりと様々なものだ。
メイドたちが仕分け、どのお茶会や夜会に参加するかを真剣に検討してくれた。
貴族のことに疎いアナベルのために、メイドたちががんばってくれている。
「お茶会と夜会、どちらに参加したほうが良いのかしら?」
「日にちがずれていますから、どちらも参加したほうがいろいろ見えると思いますよ。どちらが王妃派で、どちらが陛下派か」
「……そんなもの?」
こくりとうなずくパトリックに、アナベルは「うーん」と首を捻った。