【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。

寵姫 アナベル 4話

 アナベルはミレー夫人に話すことで、自分がどんな慈善活動をしたいのか、ぼんやりとしたものが固まっていく気がした。

「誰にでも、いろいろなチャンスがあるはずです。それを掴めるかどうかは本人次第ですが……わたくしは、そのチャンスを逃してほしくないのです」

 ミレー夫人はアナベルの言葉を真剣に聞き入り、ふっと表情を(やわ)らげる。

「……心優しい方ですのね」
「そんなことは……。ただ、わたくしがそうしたいと考えているだけですわ」

 アナベルは視線を落としてはにかむ。お茶を一口飲んで、小さく息を吐いた。

「……あの子たちは、様々な理由で孤児になった子たちです」

 すっとミレー夫人が窓の外へ視線を移す。アナベルは彼女の視線の先を追い、庭できゃあきゃあとはしゃぐ子どもたちの姿が視界に入る。

「アナベルさまの提案、主人と検討してみます」
「よろしくお願いいたします」

 ぱぁっと表情を明るくして、アナベルは深々と頭を下げた。

 孤児たちにも、未来を自分の手で掴み取ってほしい。

 その思いが通じた瞬間だった。
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