【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「……そう。つまり、あんたはミシェルから聞いてここに来たってわけね」
「はい。わたくしには護衛が必要です。あの宮殿の中で生き抜くための護衛が。そして、目立たなくてはいけないのです。王妃サマの目を、こちらに向けさせるために」
紹介の儀でそれは成功したと言える。だが、それだけでは足りない。
「……わたくし、王妃サマと一戦交えるつもりですのよ」
うふふ、と彼女は楽しそうに笑う。挑発するようにエルミーヌを見る。
――あなたはなにもしませんの? と言外に語りかけた。
「……まさか、王妃陛下に逆らおうとする女性が出てくるとはねぇ。噂の寵姫は大した肝っ玉だ」
「褒め言葉として受け取りますわね」
にこにこと笑うアナベルと、呆れたような表情を浮かべるエルミーヌ。
「あたしのことは、ヴィルジニーと呼んでくれ。エルミーヌはとうの昔に捨てた名だ」
「わかりましたわ、ヴィルジニー。それで、承諾いただけますか?」
「金額にもよるね、危険すぎるだろう」
ちらり、とパトリックを見上げる。
彼はハッとしたように懐から金貨を取り出した。
小袋に入っているが、ずっしりと重そうでかなりの量が入っていることがわかる。
「……何人雇うつもりだい?」
「この金貨で、何人くらい雇えますか?」
「最低三人って感じの金貨の量だよ、まったく……」
パトリックから渡された金貨の小袋を開けて、中に入っているものを確認すると、ヴィルジニーは肩をすくめた。
「はい。わたくしには護衛が必要です。あの宮殿の中で生き抜くための護衛が。そして、目立たなくてはいけないのです。王妃サマの目を、こちらに向けさせるために」
紹介の儀でそれは成功したと言える。だが、それだけでは足りない。
「……わたくし、王妃サマと一戦交えるつもりですのよ」
うふふ、と彼女は楽しそうに笑う。挑発するようにエルミーヌを見る。
――あなたはなにもしませんの? と言外に語りかけた。
「……まさか、王妃陛下に逆らおうとする女性が出てくるとはねぇ。噂の寵姫は大した肝っ玉だ」
「褒め言葉として受け取りますわね」
にこにこと笑うアナベルと、呆れたような表情を浮かべるエルミーヌ。
「あたしのことは、ヴィルジニーと呼んでくれ。エルミーヌはとうの昔に捨てた名だ」
「わかりましたわ、ヴィルジニー。それで、承諾いただけますか?」
「金額にもよるね、危険すぎるだろう」
ちらり、とパトリックを見上げる。
彼はハッとしたように懐から金貨を取り出した。
小袋に入っているが、ずっしりと重そうでかなりの量が入っていることがわかる。
「……何人雇うつもりだい?」
「この金貨で、何人くらい雇えますか?」
「最低三人って感じの金貨の量だよ、まったく……」
パトリックから渡された金貨の小袋を開けて、中に入っているものを確認すると、ヴィルジニーは肩をすくめた。