【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「じゃあ、とりあえず、あんたに負けない美人を呼んでみるかね」
「お願いします。そういえば、ここは王妃サマの手が回っていないようですわね?」
「ああ、王妃陛下はあたしらのことが大嫌いだからね。どんなに美しくても、娼婦は汚らわしいそうだ」

 ケッと悪態をつく姿を見て、アナベルは顎にかけていた指を頬に移動させ、じっとヴィルジニーを見つめた。

「……酷い人ですわね。理由があって娼館で働いている方も多いでしょうに」
「まあね。まぁ、危険な仕事の代わりに、良くしてやっておくれよ。あたしの可愛い子ちゃんたちに」
「もちろんですわ」

 アナベルの答えに満足そうに微笑むと、ヴィルジニーは立ち上がり、扉のほうへ歩く。

「あんたはここで待っていて。護衛の騎士と一緒にね」
「ええ」

 扉の前に待機していたパトリックと入れ替わるように、彼女は部屋から出ていった。

 ヴィルジニーはアナベルの要望に当てはまる人物を呼びにいくため、娼婦たちのところへ足を進めた。
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