【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「それじゃあ……あなたから、ロクサーヌ、イネス、カミーユと名付けるわ」
アナベルが淡々と娼婦たちの偽名をつけると、彼女たちはうなずく。
「まだ準備が必要だから、その準備が終わり次第、声をかけますわね」
「……わかりました」
ロクサーヌ、と名付けられた女性が神妙に首を縦に動かした。
アナベルはソファから立ち上がり、パトリックに視線を向ける。
彼はまだ視線をどこに向ければよいのか、困っていたようだった。
(本当に初心な方よねぇ……)
女性と接することがあまりなかったのだろうか、と考えながらアナベルは「行きましょう、パトリック卿」と声をかける。
パトリックはハッと我に返ったように視線をアナベルに移し、「はい」と答えた。
「では、また今度お会いしましょう」
「あ、ちょっと待って。その準備っていつ終わるんだい?」
「そうですね……一週間以内には終わらせるつもりです」
「わかった。それまで彼女たちはここにいるからね」
「ええ」
ぺこりと頭を下げて、アナベルとパトリックは娼館をあとにする。
帰る頃にはすっかりと日が暮れていて、アナベルは馬車に乗ると宮殿に帰るまでのあいだ、うとうととまどろんだ。
アナベルが淡々と娼婦たちの偽名をつけると、彼女たちはうなずく。
「まだ準備が必要だから、その準備が終わり次第、声をかけますわね」
「……わかりました」
ロクサーヌ、と名付けられた女性が神妙に首を縦に動かした。
アナベルはソファから立ち上がり、パトリックに視線を向ける。
彼はまだ視線をどこに向ければよいのか、困っていたようだった。
(本当に初心な方よねぇ……)
女性と接することがあまりなかったのだろうか、と考えながらアナベルは「行きましょう、パトリック卿」と声をかける。
パトリックはハッと我に返ったように視線をアナベルに移し、「はい」と答えた。
「では、また今度お会いしましょう」
「あ、ちょっと待って。その準備っていつ終わるんだい?」
「そうですね……一週間以内には終わらせるつもりです」
「わかった。それまで彼女たちはここにいるからね」
「ええ」
ぺこりと頭を下げて、アナベルとパトリックは娼館をあとにする。
帰る頃にはすっかりと日が暮れていて、アナベルは馬車に乗ると宮殿に帰るまでのあいだ、うとうととまどろんだ。