【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。

寵姫 アナベル 7話

 エルヴィスの怒号が周囲に響く。

 パトリックは一瞬ホッとしたように彼を見たが、すぐに襲撃者が攻撃を繰り出したことにより、慌てて避けた。

 彼が戦っている姿を見て、自身も剣を抜き応戦する。

「ヤッちまえ!」
「おうよ!」

 まだ複数いる襲撃者たちがエルヴィスにも襲いかかる。彼はとても冷たいまなざしで襲撃者たちを射抜(いぬ)き、剣を振り下ろした。

 次から次へと襲いかかる襲撃者たちを蹴散らしながら、アナベルのもとへ近付く。

「ベル、無事か!?」
「あ、あたしは平気、です……!」

 エルヴィスは視線を落とし、地面に転がっている男の姿と、今にも男性の象徴を踏みつぶそうとしているアナベルの格好に気付き、目を丸くした。

「……どういう状況だ、これ?」
「襲いかかってきたから、つい」

 応戦しました、と小声でつぶやくアナベルに、エルヴィスは「そうか、よくやった」と彼女を褒める。

 ぱっと顔を上げてエルヴィスを見るアナベルに、彼は安心させるように微笑んだ。

「あのー、こっちも手を貸してほしいのですがーっ!」

 パトリックが一人で何人もの相手をしていることに気付き、エルヴィスはそれに応えた。

「避けろ、パトリック!」
「はいっ」

 さっと横に避けるパトリック。見計らったようにエルヴィスが氷の魔法を使う。

 襲撃者たちの足を凍らせて、その場に留めた。
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