【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「……それに、あの者たちは、私の命も奪おうとした。ついになりふり構わずになってきたようだ」
エルヴィスは先程の襲撃者たちのことを思い返す。
王都の人間ではないことは明らかだった。暗殺者にしてはあまりにもお粗末な襲撃者だったことも踏まえ、誰かが雇った私兵だろうと考える。
(――そんなことをするのは、一人しかいないだろう――……)
あわよくばエルヴィスの命すら奪い、自分がこの国の頂点にでも立とうとしていたのか、とエルヴィスは苦々しく唇を噛んだ。
「それにしても、あの男だけなぜ生きたまま地面に?」
パトリックが相手をしていた襲撃者たちは、彼によって倒されその命を落としていた。だが、アナベルを直接狙った相手は生きているようだった。
「――わたくしの、魔法です。……わたくし、エルヴィスに話していないことが、あるの……」
アナベルは真摯な表情を浮かべて、エルヴィスを見つめた。彼は目を大きく見開き、「話してくれるのかい?」と優しく問いかける。
小さく彼女がうなずくのを見て、再びベッドに座らせてエルヴィスは彼女の隣に座った。
「……わたくし、香りを操る魔法が使えるのです」
「香りを操る……?」
「はい。甘い香り、辛い香り、苦い香り……様々な香りを。わたくしはさっきの人に、それを使いました。甘い香りで脳内を痺れさせ、辛い香りで眩暈を起こさせたのです」
香りを操り、幻想の魔法をかけた。そうすれば高確率で相手は夢の中へ誘われる。
――だが、この魔法のことは、旅芸人の一座でも一部の人しか知らない。
エルヴィスは先程の襲撃者たちのことを思い返す。
王都の人間ではないことは明らかだった。暗殺者にしてはあまりにもお粗末な襲撃者だったことも踏まえ、誰かが雇った私兵だろうと考える。
(――そんなことをするのは、一人しかいないだろう――……)
あわよくばエルヴィスの命すら奪い、自分がこの国の頂点にでも立とうとしていたのか、とエルヴィスは苦々しく唇を噛んだ。
「それにしても、あの男だけなぜ生きたまま地面に?」
パトリックが相手をしていた襲撃者たちは、彼によって倒されその命を落としていた。だが、アナベルを直接狙った相手は生きているようだった。
「――わたくしの、魔法です。……わたくし、エルヴィスに話していないことが、あるの……」
アナベルは真摯な表情を浮かべて、エルヴィスを見つめた。彼は目を大きく見開き、「話してくれるのかい?」と優しく問いかける。
小さく彼女がうなずくのを見て、再びベッドに座らせてエルヴィスは彼女の隣に座った。
「……わたくし、香りを操る魔法が使えるのです」
「香りを操る……?」
「はい。甘い香り、辛い香り、苦い香り……様々な香りを。わたくしはさっきの人に、それを使いました。甘い香りで脳内を痺れさせ、辛い香りで眩暈を起こさせたのです」
香りを操り、幻想の魔法をかけた。そうすれば高確率で相手は夢の中へ誘われる。
――だが、この魔法のことは、旅芸人の一座でも一部の人しか知らない。