【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「……それと、エルヴィス。お願いがあるのですが……」
「お願い?」
「はい、実は――……」
アナベルは今日のことを詳しく話した。孤児院でのこと、娼館でのこと。
特に娼館のことについては、彼が動揺したように瞳を揺らした。
「知っていたのか、あの娼館のことを」
「ミシェルさんに聞いていて……。親友が働いているはずだって」
「娼婦を親友と……?」
こくりとうなずいたアナベルは、昔を懐かしむように目元を細めた。
「男爵家の令嬢だったそうです。ですが、親がギャンブルにはまり、娼館に売れていった、と。その後、彼女は娼館のオーナーになり、『なんでも屋』も始めたって聞きました」
「……なるほど。それで、そこから護衛を雇った?」
「はい。エルヴィスも先程の襲撃で、わたくしに専属の護衛が必要だと思ったのではありませんか? 自分の護衛は自分で決めたかった。それに……彼女たちにとっても、この宮殿で働くことはマイナスにはならないはずです」
アナベルはまっすぐにエルヴィスを見つめて、彼の手をぎゅっと握る。
「――お願いします、エルヴィス。彼女たちを雇わせて?」
「……きみのお願いなら、仕方ないな……」
その言葉を聞いて、アナベルはぱぁっと明るい表情を見せた。
「だが、一つだけ約束してほしい」
「約束、ですか?」
「……きみが無理や無茶をしないこと。いいかい、ベル。誰の命も、代わりはないんだ」
エルヴィスの真剣な表情と言葉に、アナベルは大きく目を見開き、ゆっくりと首を縦に振った。
「お願い?」
「はい、実は――……」
アナベルは今日のことを詳しく話した。孤児院でのこと、娼館でのこと。
特に娼館のことについては、彼が動揺したように瞳を揺らした。
「知っていたのか、あの娼館のことを」
「ミシェルさんに聞いていて……。親友が働いているはずだって」
「娼婦を親友と……?」
こくりとうなずいたアナベルは、昔を懐かしむように目元を細めた。
「男爵家の令嬢だったそうです。ですが、親がギャンブルにはまり、娼館に売れていった、と。その後、彼女は娼館のオーナーになり、『なんでも屋』も始めたって聞きました」
「……なるほど。それで、そこから護衛を雇った?」
「はい。エルヴィスも先程の襲撃で、わたくしに専属の護衛が必要だと思ったのではありませんか? 自分の護衛は自分で決めたかった。それに……彼女たちにとっても、この宮殿で働くことはマイナスにはならないはずです」
アナベルはまっすぐにエルヴィスを見つめて、彼の手をぎゅっと握る。
「――お願いします、エルヴィス。彼女たちを雇わせて?」
「……きみのお願いなら、仕方ないな……」
その言葉を聞いて、アナベルはぱぁっと明るい表情を見せた。
「だが、一つだけ約束してほしい」
「約束、ですか?」
「……きみが無理や無茶をしないこと。いいかい、ベル。誰の命も、代わりはないんだ」
エルヴィスの真剣な表情と言葉に、アナベルは大きく目を見開き、ゆっくりと首を縦に振った。