【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
困惑しているようなメイドたちに、アナベルはふふっと笑う。
「剣の稽古が終わったら、王妃陛下に手紙を書くわ。ああ、手紙の内容も確認してもらわないといけませんわね、カルメ伯爵夫人に」
アナベルは目をキラキラと輝かせて、これからのことを指折り数えた。
カルメ伯爵夫人は、アナベルの教育係として宮殿に足を運んでくれている。
もちろん、アナベルたちに協力していることで危険にさらされるかもしれない。それに対しては、ダヴィドが対処している。
「わたくしの文字で大丈夫かしら……」
不安そうに頬に手を添えてつぶやいたが、アナベルは王妃イレインが『差しあげる』と言った侍女がどんな人かを考え、どんな接し方をしようか悩み出す。
「……本当に受け入れるおつもりですか……?」
「ええ、せっかく王妃サマが『あげる』って書いてくれているし、もらった人をどう扱うかは、わたくし次第でしょう?」
にこにこと笑うアナベルに、メイドたちは顔を見合わせた。
いったい、アナベルは王妃イレインから贈られた侍女を、どう扱うつもりなのか、と――……
「本来なら、あなたたちの名前も知らないといけないのに、わたくしのワガママで呼べなくてごめんなさいね」
――宮殿にはたくさんの執事やメイドがいる。
彼らはアナベルに自己紹介をしようとしたが、それを断った。
――万が一を、考えたから。
「剣の稽古が終わったら、王妃陛下に手紙を書くわ。ああ、手紙の内容も確認してもらわないといけませんわね、カルメ伯爵夫人に」
アナベルは目をキラキラと輝かせて、これからのことを指折り数えた。
カルメ伯爵夫人は、アナベルの教育係として宮殿に足を運んでくれている。
もちろん、アナベルたちに協力していることで危険にさらされるかもしれない。それに対しては、ダヴィドが対処している。
「わたくしの文字で大丈夫かしら……」
不安そうに頬に手を添えてつぶやいたが、アナベルは王妃イレインが『差しあげる』と言った侍女がどんな人かを考え、どんな接し方をしようか悩み出す。
「……本当に受け入れるおつもりですか……?」
「ええ、せっかく王妃サマが『あげる』って書いてくれているし、もらった人をどう扱うかは、わたくし次第でしょう?」
にこにこと笑うアナベルに、メイドたちは顔を見合わせた。
いったい、アナベルは王妃イレインから贈られた侍女を、どう扱うつもりなのか、と――……
「本来なら、あなたたちの名前も知らないといけないのに、わたくしのワガママで呼べなくてごめんなさいね」
――宮殿にはたくさんの執事やメイドがいる。
彼らはアナベルに自己紹介をしようとしたが、それを断った。
――万が一を、考えたから。