【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「……ただ単に八つ当たり……というかストレス発散? しているようにも見えました」
人の身体を鞭で打ってストレスを発散させる? とアナベルが眉間に皺を刻むと、それに気付いたパトリックは慌てたように両手を横に振る。
「アナベルさまが気になさることはありませんよ! あの男も自業自得です。我々に手を出そうとしたのですから」
「……そう、ですわよね。……ありがとう、パトリック卿」
「いえ……」
「とりあえず、わたくし、これから少し用がありますの。今日の宮殿の中で大人しくしていますわ」
「……そうですね、昨日の今日ですし……。なにかありましたら、すぐに知らせてください」
パトリックがアナベルに頭を下げる。彼女は「わかりました」と微笑み、自室に足を運んだ。
ドレスに着替え、ロマーヌのとこまで向かう。もちろん、王妃イレインからの手紙を持って。
「――カルメ伯爵夫人、いらっしゃいますか?」
扉をノックしてから声をかけると、「どうぞ」と返事が聞こえた。
「失礼します。ごきげんよう、カルメ伯爵夫人」
扉を開けて中へ入り、音を立てないように扉を閉める。
ロマーヌに近付くと、カーテシーをして挨拶をし、真っ直ぐに彼女を見つめた。
「ごきげんよう、アナベルさま。……その手にしているものは?」
「王妃イレインからの、挑戦状……でしょうか」
くすり、と笑うアナベルに、ロマーヌは「……そうですか」と少し声のトーンを落とす。
人の身体を鞭で打ってストレスを発散させる? とアナベルが眉間に皺を刻むと、それに気付いたパトリックは慌てたように両手を横に振る。
「アナベルさまが気になさることはありませんよ! あの男も自業自得です。我々に手を出そうとしたのですから」
「……そう、ですわよね。……ありがとう、パトリック卿」
「いえ……」
「とりあえず、わたくし、これから少し用がありますの。今日の宮殿の中で大人しくしていますわ」
「……そうですね、昨日の今日ですし……。なにかありましたら、すぐに知らせてください」
パトリックがアナベルに頭を下げる。彼女は「わかりました」と微笑み、自室に足を運んだ。
ドレスに着替え、ロマーヌのとこまで向かう。もちろん、王妃イレインからの手紙を持って。
「――カルメ伯爵夫人、いらっしゃいますか?」
扉をノックしてから声をかけると、「どうぞ」と返事が聞こえた。
「失礼します。ごきげんよう、カルメ伯爵夫人」
扉を開けて中へ入り、音を立てないように扉を閉める。
ロマーヌに近付くと、カーテシーをして挨拶をし、真っ直ぐに彼女を見つめた。
「ごきげんよう、アナベルさま。……その手にしているものは?」
「王妃イレインからの、挑戦状……でしょうか」
くすり、と笑うアナベルに、ロマーヌは「……そうですか」と少し声のトーンを落とす。