【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。

寵姫 アナベル 12話

「では、受け入れ入るための準備期間がほしいところですね」
「はい。それと、コラリーさまから夜会の招待状もいただいています。この夜会に参加したいと考えていますわ」
「それは良いですね。……ああ、それではこうしましょう」

 ロマーヌの案に、アナベルはぱぁっと表情を明るくさせた。

 彼女に教えられながら、アナベルは丁寧に手紙を書く。

 王妃イレインに対して、王妃陛下の優しい心遣いに感謝すること、ありがたく侍女をいただくこと、ただまだ宮殿に慣れていないのから一週間ほど時間がほしいこと――……

「これでどうかしら?」
「……ええ、よろしいでしょう」

 ロマーヌがしっかりと内容を確認し、アナベルに微笑みかける。

 ホッとしたようにアナベルが息を吐くと、丁寧に折り、封筒に入れた。

「封をして、王妃イレインに渡してもらいましょう」
「そうですね」

 封をするために必要なものを取り出すロレーヌ。

 小さなキャンドルにマッチで火をつけて、スプーンを用意し、シーリングワックスを溶かす。

「……綺麗な色ですわね」
「シーリングワックスの色は種類が豊富ですから、アナベルさまも今度探してみてはいかがですか?」
「そうですね、楽しそうですわ」

 紫色のワックスを溶かして、封筒の上に垂らす。シーリングスタンプをぎゅっと押して、固まるまで待ち、そっと離して確認した。
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