【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「テント張り終わったぞー」

 男性の声を合図に、みんな湖から上がり、バスタオルで身体を拭いたり髪を拭いたりしてから、服を着替える。

 アナベルの服は誰が用意したのか、ぴったりな服が用意されていた。

「あ~ん、すっごく可愛い~! やっぱり女の子って可愛いわよねぇ」

 ミシェルのはしゃぎように、アナベルは顔を赤くする。子ども用の服だ。水色のワンピースに白いエプロン。さらに、寒くないように、とふわふわの防寒着まで用意されていて、目を丸くする。

「風邪をひかないように、髪を乾かさないとね」

 そっとミシェルのアナベルの髪に触れ、手櫛(てぐし)()かすように動かす。

 アナベルの髪が一瞬で乾き、「これで仕上げよ」とヘアオイルをつけた。

「うん、髪もつやつや、ほっぺもぷるぷる。最高に可愛いわぁ!」

 大袈裟なくらい褒め称えられて、アナベルはもじもじと両手の人差し指をつんつんと合わせる。みんな、アナベルの愛らしさを微笑ましそうに見ていて彼女は視線をあちこちに動かす。

「どれどれ、おお、本当に可愛いじゃないか。……さてと、いろいろ話したいところだが、その前に飯だ、飯」

 クレマンがずいっとアナベルに差し出したのは、温かなスープとパンだった。

「移動の途中だから、こんなもんしか用意できなくて悪いな。本当は行くはずった村で、食料を買うつもりだったんだが……」

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