【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。

寵姫 アナベル 14話

 朝食を食べ終え、剣の稽古も終えたアナベルはドレスに着替えると街へ移動する。

 中心部は賑わっていて、いろいろな声が聞こえた。

「今日はどちらへ?」
「娼館へ。迎えにいくんです」
「え? もう?」
「ちょっとね、準備がありますので……」

 アナベルが楽しそうに笑っているのを見て、パトリックは首をかしげる。

 そして、娼館にたどりつくとアナベルはパトリックともに入っていく。

「……ずいぶん、早かったね」
「ええ、まあ。事情がありまして。彼女たちは?」
「いつ来ても良いように準備はしていたからね。早速連れていくの?」

 扉を開けてすぐに、ヴィルジニーがアナベルたちを出迎えた。

 その後ろには、アナベルが雇った娼婦たちがいる。ロクサーヌ、イネス、カミーユと名付けた人たちだ。

「それじゃあ、早速行きましょうか」

 にこやかにアナベルが彼女たちに手を差し出す。

 三人は少し戸惑ったように顔を見合わせていたが、すぐに手を重ねた。

「どこに行くの?」

 きょとんと目を丸くしているロクサーヌに、アナベルは満開の花のように微笑み「お買い物!」と高らかに宣言する。

「え、あ、アナベルさま……?」

 パトリックが焦ったようにアナベルの名をつぶやいた。

 アナベルはロクサーヌたちを娼館から連れ出して、街へ繰り出した。それらはすべて、娼婦たちのためのもの。
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