【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
(……今まで、どれだけのことを乗り越えてきたのかしら……?)

 きっとたくさんの苦難を乗り越えてきたのだろう考え、彼女たちに視線を注いでいるとイネスと視線が絡む。

 パチン、とウインクするイネスに、アナベルは眉を下げて微笑んだ。

「……では、話し合おうか、これからのことを」

 ――エルヴィスの真剣な声に、アナベルたちは表情を引き締めてうなずく。

 それから数時間、みっちりとこれからのことを話し合い、まずは娼婦三人の淑女レッスンから始まりを迎えることになった。

 もちろん、アナベルに対してのレッスンも残っている。

「忙しい日々になりそうですわね……」

 アナベルはぽつりと言葉をもらす。だが、その声はどこか楽しそうだ。

「では、正式なレッスンは明日から。今日は、アナベルさまたちが買ったものを確認させていただきますね」
「ええ、お願いします」

 アナベルが大量に買い込んだものを、ロマーヌの部屋に並べてもらう。

 パトリックや執事たちがせっせと運び、ロマーヌは買い込んだものたちを選別し始めた。
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