【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
いや、離れようとした。
しかし、彼女の手はベッドから伸びているアナベルの手に繋がれて、離れることができない。
「な……っ!?」
「もう終わり?」
くすり、と笑いながら血をドクドクと流しているアナベルが起き上がった。
「ヒッ!」
「あらぁ、そんなに怯えなくてもいいじゃない。あんなに熱く、あたしを刺していたのに」
血に濡れたアナベルが、彼女の手を掴んだまま微笑みかける。
「どうしてっ!」
「うふふ、かわいそうな子。……あたしたちが王妃イレインの思惑に気付かないとでも?」
肩を震わせて口元に弧を描く。口元にもべったりと血がついていて、マルトはもう一度「ヒィッ!」と短い悲鳴を上げた。
「……本当に、かわいそうな子……」
憐れむような視線を彼女に注ぐアナベルに、マルトは呆然と立ち尽くす。
膝が震えて動けないマルトに対し、アナベルは空いている手でパチン、と指を鳴らした。
すると、ロクサーヌ、イネス、カミーユが一斉にマルトに襲いかかる。
「きゃぁあああッ!」
「……はあ、まさか本当に、こーんなに呆気なく捕まるなんて」
「殺しちゃダメよ。彼女はもう、わたくしのものなのだから」
ロクサーヌの呆れたような声に、マルトは震えた。そして、続けられた彼女の言葉に信じられないものを見るように目を見開く。
「――さあ、あなたは……わたくしと王妃イレイン、どちらを選ぶ?」
人を魅了する悪魔のような微笑みを浮かべ、アナベルはマルトに問いかけた。
彼女の答えは――……
しかし、彼女の手はベッドから伸びているアナベルの手に繋がれて、離れることができない。
「な……っ!?」
「もう終わり?」
くすり、と笑いながら血をドクドクと流しているアナベルが起き上がった。
「ヒッ!」
「あらぁ、そんなに怯えなくてもいいじゃない。あんなに熱く、あたしを刺していたのに」
血に濡れたアナベルが、彼女の手を掴んだまま微笑みかける。
「どうしてっ!」
「うふふ、かわいそうな子。……あたしたちが王妃イレインの思惑に気付かないとでも?」
肩を震わせて口元に弧を描く。口元にもべったりと血がついていて、マルトはもう一度「ヒィッ!」と短い悲鳴を上げた。
「……本当に、かわいそうな子……」
憐れむような視線を彼女に注ぐアナベルに、マルトは呆然と立ち尽くす。
膝が震えて動けないマルトに対し、アナベルは空いている手でパチン、と指を鳴らした。
すると、ロクサーヌ、イネス、カミーユが一斉にマルトに襲いかかる。
「きゃぁあああッ!」
「……はあ、まさか本当に、こーんなに呆気なく捕まるなんて」
「殺しちゃダメよ。彼女はもう、わたくしのものなのだから」
ロクサーヌの呆れたような声に、マルトは震えた。そして、続けられた彼女の言葉に信じられないものを見るように目を見開く。
「――さあ、あなたは……わたくしと王妃イレイン、どちらを選ぶ?」
人を魅了する悪魔のような微笑みを浮かべ、アナベルはマルトに問いかけた。
彼女の答えは――……