【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「――行こうか、すべてを終わらせに」
「はい、エルヴィス陛下」
二人はうなずき合い、舞踏会の会場である王城に向かった。
王城は活気に溢れているはずだ。舞踏会を開くことになり、各地の貴族たちも参加しているこの会場で、王妃イレインはどのような末路を迎えるのか――……
アナベルは馬車の窓から外を眺めながら、口角を上げる。
「……楽しそうだな?」
「ええ、まあ。わたくし、一応、『重傷者』になっていましたでしょう?」
マルトはアナベルを殺すことに失敗した。
彼女はアナベルの問いかけに対し無言を貫いていたが、どちらをとっても自分はもう殺される運命なのだと涙を流していた。
だが、アナベルは彼女を殺そうとは考えていなかった。
自分の味方になればよし。
ならなくても、最悪閉じ込めるだけにすればよいと考えていたからだ。
(王妃サマには、殺すことはできなかったが、重症の傷を与えたと手紙を出させたのよね。王妃サマ、ご機嫌だったみたい)
これ以上、刺客を送らなくても良いと判断したのだろう。
マルトのことはそのまま放置され、彼女はアナベルにつくことを決めた。
自分の命を失いたくないという理由だった。
アナベルに止めを刺さずにいるマルトを、イレインは始末するだろう。
ロクサーヌにそう伝えられ、マルトは生きたい、と願った。
「はい、エルヴィス陛下」
二人はうなずき合い、舞踏会の会場である王城に向かった。
王城は活気に溢れているはずだ。舞踏会を開くことになり、各地の貴族たちも参加しているこの会場で、王妃イレインはどのような末路を迎えるのか――……
アナベルは馬車の窓から外を眺めながら、口角を上げる。
「……楽しそうだな?」
「ええ、まあ。わたくし、一応、『重傷者』になっていましたでしょう?」
マルトはアナベルを殺すことに失敗した。
彼女はアナベルの問いかけに対し無言を貫いていたが、どちらをとっても自分はもう殺される運命なのだと涙を流していた。
だが、アナベルは彼女を殺そうとは考えていなかった。
自分の味方になればよし。
ならなくても、最悪閉じ込めるだけにすればよいと考えていたからだ。
(王妃サマには、殺すことはできなかったが、重症の傷を与えたと手紙を出させたのよね。王妃サマ、ご機嫌だったみたい)
これ以上、刺客を送らなくても良いと判断したのだろう。
マルトのことはそのまま放置され、彼女はアナベルにつくことを決めた。
自分の命を失いたくないという理由だった。
アナベルに止めを刺さずにいるマルトを、イレインは始末するだろう。
ロクサーヌにそう伝えられ、マルトは生きたい、と願った。