【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
踊り子 アナベル 11話
「……昨日のことは、考えてくれたか?」
「え、本気だったの?」
「本気でなかったら、あんなことは言わない」
「あたしに寵姫ができると思っているの?」
「いろいろと教え込むさ。私には、絶対的な味方が必要なんだ。ともに、アレと戦ってくれる味方がね」
――王妃イレインが、本当に黒幕なのだとしたら……
あの日誓った復讐も叶えられるかもしれない。
それは危険な賭けでもあるが……
アナベルはふっと、自嘲気味に笑みを浮かべる。
「捨て駒になるか、ならないかの選択?」
掠れるくらいの声だった。
その声に、エルヴィスは首を左右に振る。
「違う。私のパートナーになってほしいという、お願いだ」
「……なんで、あたしを?」
「きみは、私のことを守ろうとしてくれただろう」
昨夜のことを言っているのかと、思わずエルヴィスを凝視する。彼は頬を赤らめていた。
「それに……昨日のきみの涙は、美しかった」
「……なんなんだい、その理由は……。せめて、一目惚れしたとか言ってくれないの?」
「…………そうか、確かに、一目惚れだったのかもしれない」
しばらく無言が続いていたが、どこか納得したようなエルヴィスにアナベルは困惑の視線を投げた。
自分の冗談を真に受けたのだろうかと、心配するように彼を見上げると、ぴたりと足を止めてアナベルの手首を掴む。
「……陛下?」
「こんな気持ちになったのは、きみが初めてなんだ。ほしいと思ったのも」
「……それ、ここで言っちゃう?」
呆れたようにアナベルが周りを見渡す。
ヒューヒューと口笛が耳に届き、エルヴィスはようやく、自分が口にした言葉の意味が、周囲に正しく聞き取られていたことを知った。
「え、本気だったの?」
「本気でなかったら、あんなことは言わない」
「あたしに寵姫ができると思っているの?」
「いろいろと教え込むさ。私には、絶対的な味方が必要なんだ。ともに、アレと戦ってくれる味方がね」
――王妃イレインが、本当に黒幕なのだとしたら……
あの日誓った復讐も叶えられるかもしれない。
それは危険な賭けでもあるが……
アナベルはふっと、自嘲気味に笑みを浮かべる。
「捨て駒になるか、ならないかの選択?」
掠れるくらいの声だった。
その声に、エルヴィスは首を左右に振る。
「違う。私のパートナーになってほしいという、お願いだ」
「……なんで、あたしを?」
「きみは、私のことを守ろうとしてくれただろう」
昨夜のことを言っているのかと、思わずエルヴィスを凝視する。彼は頬を赤らめていた。
「それに……昨日のきみの涙は、美しかった」
「……なんなんだい、その理由は……。せめて、一目惚れしたとか言ってくれないの?」
「…………そうか、確かに、一目惚れだったのかもしれない」
しばらく無言が続いていたが、どこか納得したようなエルヴィスにアナベルは困惑の視線を投げた。
自分の冗談を真に受けたのだろうかと、心配するように彼を見上げると、ぴたりと足を止めてアナベルの手首を掴む。
「……陛下?」
「こんな気持ちになったのは、きみが初めてなんだ。ほしいと思ったのも」
「……それ、ここで言っちゃう?」
呆れたようにアナベルが周りを見渡す。
ヒューヒューと口笛が耳に届き、エルヴィスはようやく、自分が口にした言葉の意味が、周囲に正しく聞き取られていたことを知った。